小さな19番も覚えてください! 阪神ドラフト1位の青学大・下村海翔投手(21=九州国際大付)が11日、大阪市内のホテルで新入団選手発表会に臨んだ。背番号は19に決定。藤浪晋太郎投手(29=オリオールズFA)が22年まで背負った番号を自ら選んだ。197センチ右腕の先輩に対し、下村は身長174センチ。「スケールだけは負けないように」と身長差を気持ちで埋めるつもりだ。小柄な子どもにも夢を与える投手を目指し、プロの世界に飛び込む。

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プロ野球選手としては小柄な身長174センチが大きく映えた。下村は大量のフラッシュを浴びながら、堂々とした面持ちで会見に臨んだ。初めて身を包む、真っさらなタテジマのユニホーム。左胸には自ら選んだ19番が刻まれていた。

「偉大な先輩方がつけられてきた番号。いずれは『阪神の19番は下村』と言ってもらえるような選手を目指して頑張りたい」

青学大時代はリーグ戦などで11番を背負った。一方、好きな番号を選べるオープン戦では4年間19番を選び続けたという。阪神では過去に小林繁、中西清起らが背負い、藤浪も大リーグに移籍した22年オフまで代名詞とした数字。尊敬してやまない先輩たちから番号を継承し、歴史を塗り替えにかかる。

甲子園が位置する兵庫・西宮市出身。小学生時代は自転車を飛ばし、当時無料だった外野席で夏の甲子園を度々観戦してきた。中でも大阪桐蔭時代の藤浪が春夏連覇を果たした場面を、当時10歳の下村少年は最も目に焼き付けたという。

「藤浪さんはパワフルというか、やっぱり体も大きい。自分は19番なのに、一気にサイズが小さくなる。スケールだけは負けないように頑張ります」

身長197センチの藤浪から19番を継承。174センチの下村だが、23センチ差は気持ちのこもった投球で埋めるつもりだ。

阪神の先輩では今季大ブレークした175センチの村上に「勇気をもらってきた」。青学大在籍時には同大学OBのヤクルト石川とも対面し、167センチながら現役最多185勝を誇る左腕の背中を追ってきた。今度は自身が「小さな巨人」の象徴に名乗りを上げる。

「体が小さくてもやれることを、プロの舞台で活躍することで証明して、自分と同じように負い目を感じている選手に希望を与えられる選手になりたい」

多くの期待を背負って飛び込むプロの世界。地に足をつけ、1年目は「1年間ケガなくシーズンを終えること」を目標に掲げた。

「歴代の19番を背負った人と競うのではなく、自分の目標設定をしっかりしてクリアしていきたい」

先輩たちの背中を追いながら、自らの19番像を作ってみせる。【波部俊之介】