ソフトバンクは19日、西武からFA宣言した山川穂高内野手(32)を獲得したことを正式発表した。同日午後にペイペイドームで入団会見を行い、みそぎの謝罪。不起訴処分になったとはいえ、今年5月に強制性交容疑で書類送検された大砲は「マイナスからのスタートになる」と新天地からの再出発を誓った。背番号は「25」に決定。4年契約で出来高払い込みの総額20億円規模の条件とみられる。(金額は推定)

   ◇   ◇   ◇

獲得が発表された午前11時から2時間後。ソフトバンクにFA移籍した山川が黒いスーツ、黒いネクタイを締め、会見場に現れた。異例ともいえる発表日と同日の入団会見。山川は入り口で一礼し、着席前にも一礼した。笑みはない。眉間にしわを寄せ、冒頭から深く頭を下げた。

「決断に時間がかかってしまい、本当に申し訳なく思っております。一連の私の不祥事によってライオンズファン、ライオンズ球団、プロ野球ファン、全ての関係者の方に多大なるご迷惑をおかけしたことを重ねておわび申し上げます。申し訳ございませんでした」

山川は今年5月に強制性交容疑で書類送検され、8月末に嫌疑不十分で不起訴処分になった。不祥事を起こしながらのFA移籍は世間から痛烈な批判を受けた。「厳しい声があがるのは当然のこと。野球で結果を出して『許してください』とかは思ってないです」。ざんげの言葉が続いた。

「自分が根本から変わらないといけない。1つ1つの行動や言動に自覚や責任を持ちたい。マイナスからのスタートだと思っています」。過去3度の本塁打王、通算218発という輝かしい経歴も取っ払う。「ホームラン王を取ったことがあるとか、ずっと4番打っていたとか、そういうのは一切抜きに」。新天地での再出発を誓った。

不祥事が明らかになってからは「引退を考えました」という。実母や妻との家族会議を重ね「もう少し頑張ってみようかという話をしました。妻にも『任せるよ』と言っていただいて」。交渉の席では三笠GMから「優勝したい」「戦力になってください」と熱い言葉をもらった。「三笠GMの言葉が自分の心に残りました。それが移籍の大きな理由でございます」。

10年間も在籍した古巣の西武ファンには、直接あいさつができないまま移籍が決まった。「去就が決まっていない状態で、なかなかあいさつができず悔やんでいます。本当に申し訳ございません」。晴れ舞台となるはずの入団会見は終始、謝罪会見になった。山川は最後まで頬を緩めなかった。【只松憲】

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧はこちら―>