プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る23年」。第12回は阪神の近本光司外野手です。

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近本が143安打と、リーグ最多の28盗塁を記録。新人から5年目までの通算安打は773本で、10~14年長野(巨人)の767本を抜いて最多に。5年目までに盗塁王4度は史上4人目と、いずれも快記録をつくった。

さらにルーキーイヤーの19年から5年続けて「100安打+20盗塁」をクリア。新人からの連続100安打は59~78年張本(巨人)の20年、連続20盗塁は48~57年木塚(近鉄)の10年がそれぞれ最長だが、「100安打+20盗塁」は5年が最長で、97~01年小坂(ロッテ)以来6人目のタイ記録となった。

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同じ100安打以上でも、打つカウントに変化があった。昨季までの近本は早いカウントから振る積極打法で結果を残してきたが、今季はボール球を見極める慎重なスタイルに。ストライクカウント別の成績を見ても、追い込まれた打席が多いのが分かる。2ストライク時はリーグ1位の打率2割8分1厘を記録したが、これまで高打率の0、1ストライク時は3割に届かず。特に初球は26打数6安打の2割3分1厘で、規定打席到達者では石川昂(中日)と並びリーグ最下位。得意のカウントで打てていたら、打率3割に乗せられたかもしれない。

今季の特長でもある2ストライクからの安打は全143安打のうち58・0%。2ストライクの安打の割合が58%以上は19年近藤(日本ハム)以来で、セ・リーグでは65年近藤和(大洋)91年和田(阪神)85年杉浦(ヤクルト)に次ぐ高い数字だった。三塁打は12本打ったが、2ストライクから7本。2ストライクで7三塁打は50年蔭山(南海)56年豊田(西鉄)14年西川(日本ハム)に並ぶ2リーグ制後最多で、セ・リーグ初。5年目は追い込まれてから打つ新たなスタイルで駆け抜けた。【多田周平】