昨秋の明治神宮大会で日本一になった東京6大学リーグの慶大が10日、横浜市内の同大学下田グラウンドで始動した。

堀井哲也監督(61)が引っ越しを済ませていた。

「こっち側にしました。早稲田戦、負け越しているので。普段からこういう景色でやろうと」

昨年までは一塁側ベンチに腰を下ろしたが、この日から“本拠地”を三塁側ベンチに移動した。

「200勝241敗なんでね。41敗、大きく負け越しているので。他の対抗戦も大事なんですけど、歴史の戦績的にいって、しっかりとそこは意識していこうと。ましてや(リーグ戦の)一番最後に組まれているカードなので」

三塁側ベンチ前で、一塁側の東の空を眺めながらそう話す。神宮球場での慶早戦を重ねる。視線の先はいつも早稲田のえんじ色に染まる。

「痛い目にもあってますから。この景色で痛い目にあってるんで。目に焼き付けて、練習を思い起こしてっていう、私自身の引き締めもあります」

ソフトバンク3位の広瀬ら4年生の主力が引退し、チームはガラッと変わる。 「去年のチームをどうやって越えていくのかというところですね。今年は特に(主力)選手が入れ替わるので、そういう(部分にかける)エネルギーが大きくなる年でもあると思います」

前夜のミーティングでは1人1人に「あけましておめでとう」と目を合わせ、全てが終わるまで15分間。「ラーメン店の行列みたいでした」と笑う景色から、慶大の1年が始まった。【金子真仁】