新潟医療福祉大野球部の“韋駄天(いだてん)”大久保翔太外野手(4年=関東第一)が今春、社会人企業チームのエイジェック(栃木県小山市、栃木市)に進む。50メートル走5秒7の快足と、研ぎ澄まされた野球勘を武器に、関東の強豪チームで2年後のプロ入りを目指す。

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大久保が社会人野球に足を踏み入れ、再スタートを切る。「1、2年目からレギュラーを取って主力で戦うこと。2年後にはプロ(NPB)に挑戦したい」。エイジェックは18年創部。21年には初の都市対抗出場を果たした。活気のあるチームでさらに技術を磨く。

昨年8月にはプロ志望届提出を明言。「学生のうちにダメなら」と野球を辞める覚悟でプロ入りを目指し、関甲新学生野球・秋季リーグに臨んだ。だが、悲劇が待っていた。第1戦、平成国際大戦(9月2日)の1打席目。振り切った打球は右足首に当たる。ベンチで治療後、プレー続行を志願したが中堅に向かう途中に「あっ、無理だ」と無念の交代。そのまま病院に行くと「右足首内果骨折」と診断された。その後は戦列を離れ、ドラフト会議でも名前を呼ばれることはなかった。

それでも大久保は前を向いた。「ここで辞めて、過去を振り返った時に悔しい気持ちが一番残ると思って。やれるところまでやりたい」と野球を続けることを決め、けがの後にすぐに手術を受けた。10月末にジョギングを始め、今月17日のチーム合流へ、トレーニングの強度を上げている。

高校野球、大学野球で名をはせたスピードスター。「自分のモットーは『相手が嫌がる選手』。打席でも、塁上でも何か起こるぞ、と思われる選手になりたい」。大久保はまだまだ、グラウンドを駆け回る。【大島享也】

◆大久保翔太(おおくぼ・しょうた)2001年(平13)6月27日生まれ、茨城県出身。小1から野球を始め、中学時代は取手シニアに所属。東京・関東第一高3年で夏の甲子園で8強入り、茨城国体優勝。大学2年春に首位打者、最多安打、ベストナイン、新人賞の4冠。4年春には作新学院大戦で1試合5盗塁で、リーグの1試合最多盗塁タイ記録をマークした。174センチ、67キロ。右投げ左打ち。