花巻東・佐々木麟太郎内野手(18)が、米スタンフォード大にフルスカラシップという全額奨学金で進学することが分かった。デービッド・エスカー監督(58)が15日(日本時間16日)、日本の報道陣に取材対応。「彼はフルスカラシップ。学費も寮費も100%大学が負担する」と明かした。同大は奨学金なしで4年間通った場合、約5000万円の学費がかかる。

佐々木の学部や専攻は未定だが「ビジネスの世界やスタートアップにも興味を持っている」という。最速で26年にはMLBのドラフト対象になる。「佐々木はロールモデル(模範的な人物)になりたいと考えている。野球人生はいつか終わると考えている。2年生でドラフト指名された場合でも(引退後に)また3年生で戻って来たいと考えている」と、ビジネス等の学位取得を予定しているという。同監督は就任7年目となるが、教えた野球部員は途中で就職した場合でも、再び学校に戻って全員が卒業しているという。

同大は世界大学ランキング2位に入るほどの名門で、学業のレベルの高さでも知られる。勉強について同監督は「全く心配していない。入試課が勉強についていけると合格を判断した。野球だけをやりたくてスタンフォードに来るのではない。文武両道を目標にしていると判断した。野球部もサポートする」と話した。

正式な入学は9月になるが、4月にはチームに合流する予定。6月25日までシーズンが続いているが、その後から9月まで行われるサマーリーグから試合に参加する見通し。同監督は「ビデオで見たが、野球選手としての能力が高く、クリーンアップ、中軸を打ってもらう。バットスピードが速く、大谷翔平(ドジャース)に近い。(ウラジーミル・)ゲレロ(ブルージェイズ)にも似ている」と期待を寄せた。

リーグの公式戦には来年2月から参加する。リーグ戦は56試合。「ポテンシャルはリミットがない。シーズン記録の22本塁打以上を打てる。打率も兼ね備えて、3割5分から3割7分ぐらいを打てる」と予想した。

同大はテレビ放映権料の関係で、今季まで所属したPAC12(太平洋岸)リーグから来季は東部の強豪ACC(大西洋岸)リーグに移る。移動の負担が増えるが、同監督は「移動日を1日早く取る予定。普通の商用飛行機ではなく、チャーター便での移動も検討している」と対処法を語った。

メジャーリーグのドラフトについては「今の時点では1巡目指名の能力を持っている。彼の能力を上げて、準備させるのが仕事。日本人選手は大谷選手らMLBでも、大学でもレベルが高い。1巡目の1位でいけるように」と、育成方針を示した。

佐々木は昨年末からスタンフォード大から誘いを受け、ビデオ通話などで関係者と連絡を取り合っていた。1月中旬には父である花巻東の佐々木洋監督とともに現地に赴き、監督ら首脳陣や選手たちと面会していた。野球部には日本人トレーナーがおり、学生マネジャーにも日本の留学経験者がいるという。