高卒3年目の阪神前川右京外野手(20)が開幕スタメの座をもぎ取った。オリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)に「3番右翼」で先発出場。先制打を含む2安打の活躍で、猛アピールに成功した。オープン戦は17試合で打率3割2厘と好調をキープ。岡田彰布監督(66)は「右(投手)やったら使うよ」と明言した。さあ、29日の巨人との開幕戦(東京ドーム)へ。虎の若武者が右腕・戸郷翔征投手(23)を打ち崩す。

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前川は二塁に到達すると両手を突き上げ、頭上で何度も手をたたいて喜びを爆発させた。初回1死一塁。カウント2-2からオリックス先発のカスティーヨの147キロの直球を捉え、左中間を真っ二つに割る適時二塁打を放った。3試合ぶりの安打が先制打となり、スタメン起用に応えた。頭の中は20歳とは思えぬほど冷静だった。

「バットを短く持って打つか悩んだんですけど、ここはちゃんと振りにいく場面だなと思って、しっかり振れたので良かった」

4回の第2打席も追い込まれてから143キロの直球を振り抜き、右中間フェンス直撃の二塁打。2安打1打点の活躍にも慢心はしなかった。「タイミングを早め早めにとって、差されないように。最近、真っすぐで差されるケースが多いので、そこだけはこれからも気をつけてやっていきたい」と力を込めた。

オープン戦は17試合に出場し、打率3割2厘。特に右投手との対戦は3割5分1厘と際立つ。この結果に前川をキャンプMVPにも挙げた岡田監督もうなずく。「もう右(投手)やったら前川使うよ。そんなん、打つんやから、使ったら」。文句なしの開幕スタメン決定だ。

この日は右足負傷の影響でベンチ外の森下翔太外野手(23)に代わり、右翼での起用。7回からは左翼守備にもつき、両翼での出場準備を進める。昨季、巨人戸郷との対戦成績は4打数2安打。開幕スタメンを勝ち取り、「頑張ります」と短い言葉に気持ちを込めた背番号58。その目はギラついている。

今日24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)が開幕前ラスト試合。「良くなってきてると思うので、ちゃんと悪いところは修正して、いいところは継続してやっていけるようにしたいなと思います」。快音を響かせて初の開幕スタメンへ弾みをつける。【村松万里子】

▼阪神前川が開幕戦にスタメン出場すると、阪神の高卒3年目では16年の横田慎太郎(鹿児島実、13年ドラフト2位)以来となる。横田は同年3月25日の開幕戦に出場した時点で20歳9カ月。前川が29日の開幕戦に出場すると20歳10カ月で、20歳以下のスタメン出場も横田以来だ。76年の掛布雅之も、高卒3年目、20歳10カ月で開幕戦に先発出場している。

阪神予想開幕オーダー

1番 近本(中)

2番 中野(二)

3番 森下(右)

4番 大山(一)

5番 佐藤輝(三)

6番 前川(左)

7番 坂本or梅野(捕)

8番 木浪(遊)

9番 青柳(投)