球団初の道産子開幕投手から、8年ぶりの日本一を目指した大航海が始まる。初の大役を務める日本ハム伊藤大海投手(26)が28日、開幕ロッテ戦(ZOZOマリン)へ向けて最終調整した。初体験の開幕マウンドも楽しむことをテーマに掲げた。ふとしたきっかけで知ったサッカー元日本代表の本田圭佑氏(37)の言葉を胸に、チームに5年ぶりの開幕白星をもたらす快投を誓った。

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やや肌寒かったZOZOマリンで、いい緊張感を保った半袖姿の伊藤が開幕戦へ向けた調整を完了した。

伊藤 ここ1週間、緊張してんのかなと思っていたけど、ワクワクの方が強いのかなと思う。

率直な心境を明かした右腕は、初めての開幕マウンドでファンに見てもらいたい姿を明かした。

伊藤 このオフ、野球を取り組むにあたって何が大事かを考える時間が多くあって「楽しむことが一番」と感じた。楽しんで投球している姿を、みなさんに楽しんでもらえたら。

その心構えに至ったきっかけは、動画投稿アプリ「TikTok」だった。ある日、何げないタイミングで金言が目に入ってきた。

伊藤 たまたまサッカーの本田圭佑さんが「いつか死ぬので、今を楽しまないと意味がない」という言葉をおっしゃっていた。確かにそうだ、と。野球やめるとか投げ出すのは、すごく簡単なことなので、せっかくやるからには楽しんで、いろんなことにトライしていった方がいいと思った。

日本ハムが北海道に移転後はもちろん、球団史上でも初めて道産子投手が開幕投手を務める。昨年9月25日に新庄監督から通達されてからの半年間は、プレッシャーを感じることもあったはずだが、ふと目に飛び込んだ本田氏の言葉が気持ちを楽にさせてくれた。

伊藤 どんだけ思い詰めても、結局そこは人間の越えられない壁だと思う。いつか死ぬっていうことを考えたら、今頑張るとか楽しむとか、やれるべきことはやった方がいいかなっていう考えになった。

頼もしい仲間も勇気づけてくれた。外野でキャッチボール中に、守備練習でやってきた選手会長の松本剛が声をかけてくれた。

伊藤 剛さんも、4点取ってくれると言っていた。あまり気負いすぎず、それを信じて投げたい。

楽しみながら大役を全うしてチームに19年シーズン以来の開幕白星をもたらし、チームが目指す日本一の大航海を勢いよく船出させる。【木下大輔】

◆日本ハム伊藤とZOZOマリンとの相性 プロ入り3年間で5試合に登板し、3勝負けなし。防御率1・74と好成績を残している。新人だった21年はシーズン最終登板の10月30日ロッテ戦で勝ち、節目の10勝に到達。侍ジャパンの一員としてWBCで活躍した昨年も、シーズン初登板はZOZOマリン(4月5日)。5回3安打無失点と好投したが、援護なく、勝ち星はつかなかった。

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