笑顔で“ファミリー”のボスを務める。楽天今江敏晃新監督(40)が、本拠地仙台で西武にサヨナラ勝ちし、初勝利をつかんだ。延長11回1死一、三塁で2番小深田がサヨナラ犠飛を決め、開幕からの連敗を「2」でストップ。笑顔が魅力の12球団最年少指揮官が、巨人阿部監督、ソフトバンク小久保監督に遅れること2日、待望の監督1勝目を挙げた。

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「いけーーー」。今江監督が絶叫した。3-3の延長11回1死一、三塁、小深田が左飛を打ち上げると、三塁走者・辰見が間一髪で生還。ジャンプをしながらベンチを飛び出し、持ち前の笑顔で両手を突き上げた。「非常に印象深い初勝利となりました」。開幕3戦目での1勝をかみしめた。

昨年10月、1軍打撃コーチから監督に転身した。理想の指揮官は、ロッテ時代に21歳の自身を主力に育ててくれた、ボビー・バレンタイン氏。恩師に習うように開幕3連戦で25歳早川、23歳荘司、21歳の内を先発で起用した。サヨナラのホームに頭から滑り込んだ育成出身の23歳辰見も、代走の切り札として送り出した。

対話を大切にする。指揮官として初の大仕事は、エース則本への抑え転向打診だった。「今江監督の考え、熱意っていうものが会話の中で、すごく伝わってきました」と則本の胸を打った。昨季、1軍で8試合出場の茂木には「もう1回レギュラーを取って戦力になってくれ」と奮起を促した。その茂木は11回の右前打でサヨナラ勝ちを演出。青山投手コーチは「全選手を把握しようとしている」と指揮官の熱さを表現する。

バレンタイン氏が強調した「チームはファミリー」という言葉が今も心に残る。勝利を目指し、試合に出ていない選手もベンチで絶叫していた。「みんなが本当に声を出してくれて、何とかという思いでやってくれた。その中でつかんだ1勝は、すごく何かこれからまた大きなものになるのかなと思います」。全員が戦力-。今江ファミリーを象徴するような、監督初勝利となった。【山田愛斗】