深々と一礼して背番号18が横浜のマウンドに帰ってきた。DeNA小園健太投手が鋭い眼光で2年目・松尾のミット目がけて腕を振る。1回先頭、中日三好を内角直球で攻め、最後は外角からゾーンに入るカーブで見逃し三振。プロ初奪三振で幕を開けた。

しかし、プロの厳しさを体感した。2四球で2死一、二塁のピンチを招くと、細川にスライダーを左前に運ばれて先制点を献上した。2回にも1死満塁から田中の二ゴロと高橋周の一塁への内野安打で2失点。3回には2死一、二塁から投手・松葉に右前への適時打を打たれて万事休す。3回途中7安打5失点3四球で三浦監督に交代を告げられ、悔しそうな表情を浮かべてマウンドを後にした。

自ら勝ち取ったデビューマウンドだった。21年にドラフト1位でDeNAに入団。三浦監督が現役時代に背負った背番号18を受け継いだ。ただ、この2年間は思い描いたものではなかった。入団当初はすぐに実戦登板はせずに体作りに励んだ。1年目のキャンプでは、チームスタッフが新型コロナの陽性判定を受け、濃厚接触者の疑いで自主隔離。シーズン終盤には新型コロナウイルスに感染し、2年目はインフルエンザに感染した。内定済みだった1軍デビューは幻に終わり「運が悪いですよね、2年連続で…」と嘆いた。

3年目の今季は目の色を変えて臨んだ。宜野湾キャンプ最初の投内連係では、先輩たちを差し置いて、トップバッターを名乗り出た。「開幕を最初から狙っていた。何でも最初に率先してやりたいなと」とアピールだった。三浦監督にも「今年にかける思いをすごく感じる」と気合が伝わった。

プロ初勝利はならなかったが、指揮官の引退試合以来、8年ぶりに背番号18がマウンドに戻ってきた。ほろ苦い初陣を糧に、1歩1歩階段を上っていく。【小早川宗一郎】

◆小園健太(こぞの・けんた)2003年(平15)4月9日、大阪府貝塚市生まれ。貝塚一中では貝塚ヤングに所属し、高校でもバッテリーを組む松川(現ロッテ)と全国制覇。市和歌山では1年春からベンチ入り。3年春にセンバツ出場。21年ドラフトで2球団の1位指名を受け、DeNA入団。背番号は三浦監督がつけた「18」を継承。185センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸910万円。

【動画】DeNA小園健太がプロ初奪三振!先頭打者三好を117キロのカーブで見逃し三振