これぞ新エースの投球だ。オリックス宮城大弥投手(22)が味方のミスをカバーし、今季3戦目で待望の初勝利を挙げた。日本ハム相手に8回無失点。「なかなか勝てず申し訳ございませんでした」とお立ち台でファンに頭を下げた。

「打者1人1人と向き合った結果。必死に耐えたところは良かった。流れを向こうに持って行かれないことを意識して、実行できた」。得点圏に5度、背負った。6安打に加え、同学年で仲のいい遊撃の名手紅林が珍しく3失策。そのミスが絡んだ3回は2死一、三塁、4回は無死一、二塁、そして8回は1死一、三塁とされたが踏ん張った。抑えるたびに拳を握り、ほえて、自らを鼓舞した。

「もちろんミスは人間なので、ある。彼にもたくさん助けられているし、そこはお互いさま」。落ち込む紅林には「切り替えて。仕方ない」と優しく伝えた。そんな姿に責任感が見え隠れする。昨オフに絶対的右腕の山本由伸がドジャース移籍。そして宮城は開幕投手を任された。引っ張っていく立場は理解している。

女房役の森は証言する。「今年はふとした時に、ああ、エースやなあと感じます。昨年までは由伸がいて、宮城はどちらかというと弟キャラというか、いじられるような立場だった。それが今年は淡々と自分のやるべきことをやって、群れない」。昨年、阪神ノイジーに3ランを打たれて敗れた日本シリーズ第7戦も、森いわく「もうリセットしていますよ。次に進むことが大事です」という。

左腕はここまで2戦とも試合をつくりながら黒星。三度目の正直を果たした。「焦りはまだ、なかった。今日勝てなかったら、ちょっと怪しかったですけど」と含み笑いで喜んだ。リーグ4連覇、そして個人としては4年連続2桁勝利へ。力強く最初の1歩を踏み出した。【大池和幸】

▽オリックス平野佳(9回4点リードの2死一、二塁で登場。五十幡を見逃し三振で4セーブ目)「どうなったら行くというのは伝えてもらっていた。準備はできていた。あのバッターで終わりたかったので良かった」