左腕の西武隅田知一郎投手(27)が完封勝利を決めた107球目は、妖艶(ようえん)だった。楽天の左打者辰己の外へのチェンジアップ。小島大河捕手(22)は「打者を見てそこがいいかなと思って」。辰己は手が出ずに見逃し三振だった。

左打者の外角にチェンジアップを正確に操れる左腕投手は、決して多くない。小島も「なかなかいないので、あそこに投げてくれると1つ、いいラインができるのでありがたいです」と配球の広がりに感謝する。上位の左打者に多投し、1週前の対戦とは違う隅田をバッテリーで表現した。

テクニシャンの隅田が地道に練習を重ねる球だ。コントロールを間違えば長打リスクもある緩い球だが「不安要素は一切ないです」と自信をもって投げる。7回のけん制アウトもそう。頭を巡らせ、培った技術を本番で成功させる。今季3度目の完封勝利にはしっかり裏付けがある。

夏の本拠地にしては珍しい涼しさも隅田をアシストした。4回7失点の7月23日の日本ハム戦、野村に被弾する直前に「暑すぎてマウンドで吐きかけました」と明かす。そんな猛暑にへこたれず、チームも貯金を約2カ月ぶりに今季最多の19に戻した。【金子真仁】