日本ハムの次期監督に8日、元ヤクルト監督の土橋正幸氏(55)の就任が決定した。この日、大沢球団常務から都内のホテルで就任要請を受けた同氏は、「お受けいたします」と快諾、日本ハムの前身である東映OBでチーム事情にも詳しく、熱血漢で知られる土橋監督の誕生で、日本ハムは来季Bクラスからの脱脚を目指す。

 もつれにもつれた日本ハムの後任監督問題も、「OB」の登場でやっと終結した。近藤貞雄監督(66)の勇退表明以後、球団サイドは外部招へいを基本に人選を進めていたが、候補の大矢明彦氏(43=元ヤクルト)、武上四郎氏(50=元ヤクルト)らとの交渉が難航。一時は高橋一三投手コーチ(45)の内部昇格でまとまろうとしていた。

 これに対し本社サイドは、球団からの「高橋監督案」に難色を示し、大社オーナーも報告を受けた今月2日「代案はないのか」と再検討を要望した。小島代表、大沢球団常務がこれを受け新たに監督人選に入り、日本ハムの前身である東映のOBで、日拓(日本ハムの前身で東映のあとの球団名)、ヤクルトでも監督経験のある土橋氏に白羽の矢が立った。

 同氏への期待はチームの活性化にある。投手力は西崎、柴田、松浦、武田らを擁し優勝した西武に見劣りのしない戦力をそろえているものの、打線の沈滞からくる覇気のなさは否めない。そこで、東映の“暴れん坊”時代の中核となった土橋氏の手腕に再生を託すことになった。同氏もそのあたりは十分承知しており、「今の日本ハムはファイターズは名前ばかり。元気のあるチームに変えていきたい」と、早くも抱負を示した。

 本社サイドも「土橋監督」に異存はなく、今季の全日程を終了する10日の近鉄戦(藤井寺)後、すぐにも発表したい意向だ。

 日本ハム大沢球団常務の話

 きょう土橋氏に会って内諾を得た。既にオーナーの了解も得ている。発表は近藤監督との契約が終わればすぐやりたい。

 持田球団社長の話

 土橋さんから心よい返事をもらったと、大沢常務から連絡を受けました。オーナーに早急に報告して、早い時期に発表できるようにしたい。

 土橋氏と一問一答-日本ハムから監督就任を要請されたそうですが土橋氏

 ええ。大沢常務とお会いして、やらせていただきます、と返事しました。-今季、日本ハムの戦いぶりをどう見ましたか?土橋氏

 名前はファイターズだが、全体にあまり覇気が感じられない。勝負をしているわけですから、もっと闘志が前面に出てきてほしい。-73年以来の古巣への復帰となりますね土橋氏

 もう20年近くも前のことですからね。それに当時は日拓だったのが、現在は日本ハム球団ですから。それに選手たちは当時とは全く違うわけですから、そういう感じはあまりない。ただ、フライヤーズ(日拓の前身・東映)時代のOB会などでは日本ハムさんのフロントにお世話になっていましたから、やっぱり古巣かな。-どういう方針で指揮を執りますか?土橋氏

 結果はどう出るか分からないけど、悔いのない思い切ったプレーをさせたい。全力投球ですよ。(東京港区赤坂の自宅で)(1991年10月9日付・日刊スポーツ)