<広島4-3横浜>◇5日◇広島

 広島の前田健太投手(19)が5日、広島市民球場の横浜戦でプロ初登板。毎回のように走者を背負いながらも、しっかり試合を作り、味方の反撃を待った。試合は延長10回、天谷の一打でサヨナラ勝ち。5回3失点で自身の初勝利はならなかったが、チームの白星に若き18番は安堵(あんど)の表情をみせた。

 苦しかった。でも粘った。5回で104球を要したマウンドは、前田健にとって成長の糧になるピンチの連続だった。毎回のように走者を背負ったが、崩れなかった。初登板とは思えない落ち着きだった。

 「試合が始まる前は少し緊張しましたけど、始まってからはとても落ち着いて投げることができた」。1-0の2回、2死から吉村にソロを浴びる。動揺せずに小関を遊ゴロ。3回は1死二塁から石井琢の右前打をアレックスが後逸。勝ち越しを許した。なおもピンチは続くが後続を断つ。最後は昨年の本塁打王・村田を内角141キロの直球で詰まらせ捕邪飛。「1点とられた取られた後だったので、村田さんを抑えられてよかった」。結局村田は前田健に3の0。そのうち2度は走者を置いての打席だった。

 5回5安打3失点。先発としての役割は果たせた。安打は許した。四球も3つ出した。それでも粘った。点を取られても1?に2点は許さない。あと1本出れば苦しくなる場面を耐えた。石原は「頑張って投げていた。初登板なのによく粘った」。小林投手コーチも「ナイスピッチング。よく試合を作ってくれた。初めてであれだけ投げられたら素晴らしいよ。まだまだ伸びしろはあると思う」。

 もちろん反省もある。「甘く入った球もあったし、スライダーが高めに浮いたのも課題」。2年目でデビューを果たした18番。「不安もあった」と振り返るがまずは「合格点デビュー」。ブラウン監督も「前田健は球数が多く苦しかったが、必要な場面でいい球がいっていた」。課題も収穫もあったデビュー戦。初星は次の登板だ。【網

 孝広】