<ヤクルト4-6横浜>◇23日◇神宮

 8月の北京五輪日本代表メンバーの横浜村田修一内野手(27)が、ヤクルト戦(神宮)で巨人ラミレスを抜いて単独キングに立った。2点差の2回、左翼席へ今季28号ソロを運んだ。チームは借金30の最下位と低迷するが、村田は7月20試合で打率3割9分、9発と量産。星野ジャパン4番候補の阪神新井が腰痛で戦列を離れている中で、もう1人の主砲は五輪本番へ好調をキープする。

 村田の狙いは最初のストライクだった。2点を追う2回表。カウント0-1から真ん中高めにきた速球をとらえた打球は、左中間スタンド上段まで飛んだ。巨人ラミレスを1歩リードしリーグ単独トップに立つ28号ソロ。「(石川は)制球がよく、カウントを有利に持ち込むのが難しい投手。早いカウントでの速球を狙っていました」。主砲の1発が反撃の契機となり、逆転勝ち。9連戦を5勝4敗と勝ち越した。

 22日こそ2度の満塁機に凡退したものの、7月の20試合で77打数30安打で打率3割9分、9本塁打と量産態勢に入っている。2年連続の本塁打王も意識する時期だが、8月の北京五輪で離脱するとあり意に介していない。「いない間に、ラミレスが1本も打たないということはないでしょう。まったく気にしていませんよ」。ただ3年連続30本塁打が見えてきたことに「今年も30発は行きそうなんでよかった。五輪にいかないなら40本も狙えたんですけどね」。今の状態なら、五輪までの残り5試合で十分に大台に乗りそうだ。

 その五輪へ向け、最大の心配事も解消されつつある。主砲として、最下位に沈むチームのことを懸念していた。だが、ここにきて東福岡の後輩にもあたる吉村が大当たり。村田不在の間は4番抜てきが確実で、大矢監督は「今から言うと力が入っちゃうから考え中だよ」と、ほぼ認めている。村田は「今の状態なら大丈夫でしょう。安心して任せられます」と託す。

 4番打者としての助言を問われると、村田は間髪入れずに答えた。

 村田

 我慢することが大事ですね。3番の内川も好調だし、内川を歩かせて4番勝負もある。でも、どんな状況であれ自分の打撃をしなければいけない。

 それは村田の「4番哲学」と言ってもいい。村田自身、日本代表では腰痛のため万全でない阪神新井に代わり、4番に座る可能性がある。重圧のかかる厳しい戦い。だが、村田が自分の打撃を貫けば、悲願の金メダルはグッと近づいてくる。【飯島智則】