<阪神4-11横浜>◇15日◇京セラドーム大阪

 9回、頭部付近に投げられ、結局三振した金本はバットを投げ捨て、怒りの表情を見せた。岡田監督も「明日は知らんぞ。なめられとったらあかん」とこちらも怒りのコメント。「掟破り」の1球に対し、指揮官と主砲がいらいらをつのらせた。ただし、阪神の試合内容は虎党を最大限にいらつかせた。1イニング7失点は今季ワーソトで、11失点はワーストタイ。守乱、中継ぎ崩壊、大拙攻と悲惨なゲームだった。それでも巨人が負けたためマジックは「35」とひとつ減った。

 バットを放り投げ、ヘルメットをたたき付けた。金本が怒りを爆発させてベンチに退いた。7点差の9回1死走者なし。カウント2-0からの横浜横山の一球は、頭部付近を襲ってきた。体をよじって避けると、スタンドからは大ブーイング。殺伐した空気の中、続く変化球を空振りして、イライラを発散した。ベンチに腰掛けても、まだグラウンドをにらみながら毒づく。その前で最後の打者となった桧山が二ゴロに倒れ、最下位横浜に敗れた。

 「林ちゃんへの1球はいいとして、またあの辺(頭部付近)にきたからな。一番悪いのはその後。アイツ(捕手相川)は何も言わない。かつての中村武さん、古田さん、村田さんだって、しょうもない球の後は『悪い、ゴメンな』と言ってくれた。それが彼のスタイルならそれでいいけどな」

 8回裏にも林が頭部付近に1球、投じられていた。横山-相川のバッテリーは続く9回にも、金本に対して同じ配球をしてきた。点差や状況を考えれば、厳しく攻める必要があるのか。その後のマナーも、怒りの火に油を注いだ。

 金本が野球道具にあたるのは珍しいが、初めてではない。好機で凡退した時など、自分に腹を立てることはある。だが対戦相手のプレーに対して、ここまで怒りをあらわにしたことはない。岡田監督は主砲の興奮をくみ取り「報復」さえにおわせた。

 「カネもえらい怒っとったけどな。まあ最下位チームとやり合いたくないけど、明日は大変やな。なめられとったらアカンからな。明日は知らんぞ」

 わざわざ足を止め、勝利のハイタッチをする横浜ベンチをにらみつけてから会見場に向かった。ゲーム展開にはいっさい触れず、許せない1球とその対処についてまくしたてた。

 ビーンボールまがいの投球が火を付けたが、試合内容もストレスがたまった。5回まで毎回の8安打ながら1得点で下柳を援護できなかった。赤星、鳥谷の失策が失点に絡み、6回から8回で10失点。リーソップと渡辺が試合をぶち壊した7回には、今季ワーストの1イニング7失点を喫していた。

 13日巨人戦で延長戦をもぎとり、5連敗をストップさせたばかり。乗っていきたい地元大阪でのゲームで大敗したイライラに、危険な投球も重なった。横浜、許すまじ。マジック減らしとは別の感情に、首位の阪神がとらわれてしまった。【町田達彦】