日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が2日、楽天岩隈久志投手(27)に対する「ほめ殺し」を連発した。セ、パ両リーグが3日、6年ぶりに同時開幕。札幌ドームでは3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本の連覇に貢献した2人が激突。国民的ヒーローとなった右腕に得意の挑発系の発言を封印し、「岩隈さんの方が注目されるでしょ。(楽天打線も)すごくいい打線」などとヨイショしまくった。対する岩隈は「投げ合うのは楽しみ」と言葉少なだったが、本気度十分のバトルを予感させた。

 いきなりの頂上決戦にも、ダルビッシュは地に足が着いていた。この日は短めのダッシュを繰り返し、軽いキャッチボールで最終調整。ここ一番の先発前日には相手の先発投手に「心理戦」を仕掛けてきたが、この日は神妙だった。

 ダルビッシュ

 僕より注目されるのは、岩隈さんの方でしょ。僕はいいです。よくしてもらっているし、仲もいいので、投げ合ってどうの、こうのいうのはない。お互いにいい投球ができればいいです。

 WBC決勝では9回に追いつかれ、岩隈の勝利投手を“はく奪”。「ナイスピッチングです。でも僕が勝利投手ですよ」と、素直に謝罪の言葉を伝えられなかった。そんな盟友に過激な言葉を一切発することはなかった。07年10月、2勝2敗で迎えたロッテとのクライマックスシリーズ第5戦の前日には「打たれることはない。(先発成瀬にも)勝てる」と言い切り、ここ一番では心理戦を仕掛けることも多かったが、この日は優等生発言に終始した。

 本気度の現れだ。野村監督が決戦を前に、さまざまな論評を展開。目にし、耳にもしているはずだが、過剰反応したWBCのマリナーズ城島のように、心を乱さなかった。「嫌なイメージというか、いいイメージで僕が抑えているというか、そういう感じはない。(昨季途中加入の)セギノールとか中村紀さんとか入って、すごくいい打線」と、最後まで持ち上げた。

 WBC連覇の余韻十分で、開幕6カードの中でも、最も注目されるドリームマッチが実現する。近鉄時代の岩隈と、2人の教え子の対決を見守る梨田監督は言った。「世界で(テレビ)放送しないのかな。札幌ドームでこのような対決があるのは、非常に喜ばしい」。日本最北の09年オープニングゲームが、さらに時代の流れに勢いをつける可能性がある。【高山通史】

 [2009年4月3日8時55分

 紙面から]ソーシャルブックマーク