<巨人8-7中日>◇10日◇東京ドーム

 巨人が中日9回戦で逆転勝ちし、今季3度目の5連勝を飾った。坂本勇人内野手(20)が6-7の8回、逆転の6号2ランを放った。2日の阪神戦では9回に勝ち越しソロ、6日の横浜戦ではサヨナラ弾。5月に入って5本塁打と量産し、勝利に貢献するアーチのオンパレードだ。プロ1年目の一昨年、母輝美さん(享年47)を亡くしたが、母の日にまたもや大きな仕事をやってのけた。巨人は7勝2敗で9連戦を終了。貯金は今季最多の12に増え、首位を快走する。

 スタンドで大合唱が起きた。GReeeeNの名曲「キセキ」が流れ、4万人を超えるファンの歌声とこだました。1点を追う8回2死二塁。メロディーに背中を押され、坂本は打席に向かった。中日斉藤から、乱打戦を制する逆転2ランを左中間へ運んだ。ファンが総立ちで雄たけびを上げる中、ダイヤモンドを回って逆転のホームを踏んだ。

 「無我夢中で。ヒットでつなごうと。どこにボールが飛んだか分からないくらい集中していました」。守護神岩瀬へつなぐ右腕対策を、ベンチで練っていた。4月26日の試合では、好機で斉藤に内角へ3球続けられ右飛に倒れた。データを篠塚打撃コーチと確認。「内を狙います」と、狙い球を絞っていた。「この前のイメージがあった」。カウント2-1からの4球目、内角142キロのシュートに反応。バットのヘッドを利かした、ひと振りで決めた。

 この日試合前のティー打撃で、篠塚コーチのトスする球をバックネットに向かって打ち上げた。インパクトまでヘッドを返すことなく、しっかりボールの下側をたたかなければ打球は上がらない。練習の成果が、すぐに結果として出た。

 前日9日の中日戦は4打数無安打で、連続試合安打は8試合で止まったが、切り替えはできていた。「あまり気にせず、球場に入りました」。球場入りまでの車中で聴く最後の曲は「キセキ」と決めている。「試合にグッと入っていける」と打席のテーマ曲を流し、戦闘モードで球場入りする。

 リードオフマンとして白星を呼び込んだ。初回、5回は安打で出塁し、得点につなげた。6日に1番に座ってから、負けなしの5連勝。母の日で、家族連れのファンも多かった。プロ1年目、闘病中も車いすで2軍の試合の応援に駆けつけてくれた天国の母にも届いた1発だった。3年目で「予想以上の成長か」と問われた原監督は「予想は、もうちょっと高いね」と冗談ぽく言った。とどまるところを知らない成長カーブ。チームとともに坂本の快進撃も続く。【古川真弥】

 [2009年5月11日8時53分

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