堂々の逆転V宣言だ。中日落合博満監督(55)が23日、名古屋市内で白井文吾オーナー(81=中日新聞社会長)に前半戦の戦いを報告。その中で、後半に2・5ゲーム差の首位巨人を抜いて優勝することを約束した。「たぶんうまくいくでしょう」「ここからは監督の腕の見せどころ」など仰天の発言がズラリ。それでも有言実行を貫く落合監督らしく、昨季王者への宣戦布告を済ませた。球宴明けとなる28日からの巨人3連戦(東京ドーム)へ向けて、早くも気合十分だ。

 約1時間のオーナー報告を終えた落合監督は、無言で会場を後にした。報告を受けた白井オーナーによれば、同監督は前半戦の戦いを解説した後、後半戦へ向けて決意を示したという。

 「後半戦に向けては今の成績というのは忘れて、これから新しいスタートだという気持ちでいく。たぶんうまくいくでしょうという話だった。優勝?

 まあ、そういうことでしょう」。

 8連勝で前半戦を締めくくったチームは、5月に最大9あった巨人との差を2・5ゲームまで詰めた。自慢の投手陣に加えて、7月はチーム打率がリーグトップと打線も絶好調。指揮官から「V宣言」が飛び出したのもうなずける。

 有言実行は落合監督のモットーだ。就任した04年に「現有戦力の10%底上げで優勝できる」と補強なしでの優勝を宣言した。開幕前の下馬評は低かったが、終わってみれば独走で5年ぶりの優勝を果たした。現役時代から毎年「3冠王」を宣言するなど、目標を口にすることで実現へのパワーにしていく。この日のV予告も自信とともに、チームや自分への叱咤(しった)の意味合いがありそうだ。

 巨人に東京ドームで3連敗を喫して、9ゲーム差となった5月10日、落合監督は「ここを追いかけられるのはうちだけだ」と逆襲を予告した。まるで今の状況を見越したかのようなこの発言について、白井オーナーは「あれは監督の自信なんでしょう。負けた時にそういうのを言うのはいい度胸だなと思うが、ちゃんと勝算があったんだろう」と称賛した。

 同席した西脇球団代表によれば、落合監督は「選手はよくやってくれている。これを持続させられるかどうか。ここからは監督の腕の見せどころ」と采配にも自信を見せたという。優勝へは、自身の采配次第という意味合いの言葉を口にするだけでも仰天だが、いかにも落合監督らしい。

 宿敵巨人を逆転して、3年ぶりの優勝を果たせば白井オーナーの念願もかなう。「(日本シリーズのある)秋が楽しみ?

 まあその前にやることがたくさんありますから。喜びはその時にとっておきます」。落合監督から頼もしい「逆転V予告」を受けた同オーナーは終始、笑顔だった。【鈴木忠平】

 [2009年7月24日12時21分

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