<パCS第2ステージ:日本ハム9-4楽天>◇第4戦◇24日◇札幌ドーム

 投打のつなぎ野球で、パ・リーグ優勝の日本ハムが2年ぶり5度目の日本シリーズ(31日~、札幌ドーム開幕)進出を決めた。クライマックスシリーズ(CS)第2ステージ第4戦で楽天を下し、4勝1敗でCSを突破した。6回以降は小刻みな投手リレーで楽天の追撃をかわし、8回にスレッジの3ランで勝負を決めた。梨田昌孝監督(56)は近鉄の選手として2度、監督として1度日本シリーズに挑戦したが、いずれも敗退している。巨人を倒し、今度こそ日本一を奪う。

 梨田監督は去りゆく名将に敬意を払い、静かに充実感に浸った。胴上げをされる野村監督を見つめながら「野村さんならどういう野球をやるのか、いつも考えていた」と話した。ノムさんからは「世話になったな。頑張れ。日本シリーズは見にいく」と激励された。

 近鉄監督時代を含め監督通算7年。同じパ・リーグひと筋で捕手出身の野村監督からは度々、厳しい言葉を浴びた。それでも1つの大きな背中を超え、「(野村監督は)口撃しているわけではないと思っていた。勉強になった。お世辞で言うわけじゃないけどね」と感謝した。

 短期決戦で信念を貫いた。エースのダルビッシュを欠く苦しい状況の中、「どう使おうが、選手がやってくれないとどうしようもない」と柔軟な継投で乗り切った。選手を褒めて伸ばし、信じる。野村監督とは対極のような思考でタクトを振った。大舞台での経験が07年のCS1試合だけの金森を要所で起用し、重圧がかかる試合の中で若い芽も育てた。

 選手、近鉄監督時代に経験できなかった日本一。選手で2度、監督では01年の1度日本シリーズに出場したが、あと1歩のところで手が届かなかった。「近鉄という日本一のないチームで育った。夢、チームの目標です」。01年にパ・リーグ優勝時につけていた福岡・篠栗(ささぐり)町にある「南蔵院」の数珠など、右手首に3本の数珠を巻いている。

 それは複数の選手、スタッフと心を1つに戦う証しだ。その数珠をつなぐ玉の1つは透明で、光を当てると文字が浮かんで見え、こう刻まれている。

 「北の大地に勝利の星は輝く」

 まだ見たことがない星に手をかけるチャンスがやってきた。【高山通史】

 [2009年10月25日7時59分

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