野村カープが船出した。広島は1日、野村謙二郎新監督(43)のもと沖縄キャンプをスタートした。地元の歓迎セレモニーでは、サッカー元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(FC琉球総監督=54)から花束の贈呈を受け「カリスマ性を失うな」と金言を贈られた。早朝からテレビ出演などで多忙を極めたが、19年ぶりの優勝を目指す指揮官は、各選手の動きの良さに大満足のキャンプ初日となった。

 新たなカープの指揮官は、朝からめまぐるしく動いた。早朝5時半に起床すると、6時過ぎの情報番組に生出演。そのまま戻って7時半からの全選手、スタッフとの早朝散歩に加わった。10時からのキャンプ初日も、球場で選手にノックをしていたかと思えば、ブルペンで投手陣の熱のこもった投球を見守り、また球場に戻ってトスバッティングのボールを上げるなど精力的に動いた。その中で各選手の動き、コンディションを鋭く観察していた。

 野村監督は「全体的に見て、選手の仕上がりがいいですね。自分が想像していたより良かった。栗原などは体が締まっていたし、動きの悪い選手はいなかった。満足という言葉は使いたくないですが、よく(自主トレなどを)やってきたと評価したい」と納得した表情で振り返った。

 思わぬ言葉も受け取った。この日、練習開始前に地元沖縄市の東門美津子市長(67)らも参加した歓迎セレモニーが行われた。そこで、サッカー元日本代表のトルシエ氏(現FC琉球総監督)から花束を贈呈された。2人は面識はないが、トルシエ氏は競技の枠を超え、同じ「監督」という仕事をスタートさせた指揮官にエールを送った。

 トルシエ氏

 彼の現役時代については残念ながら知らないが、現役時代から実績を積んで、多くの人に認められたからこそ監督になったはず。これまでの経験を生かし、カリスマ性を失わずに自分のペースで頑張ってほしい。

 これを伝え聞いた指揮官は「それはありがとうございます。あの方ほどのカリスマ性は僕は持っていないですけど」と笑った。

 強いカープ復活に燃える指揮官は「いいスタートを切れたというだけ。まだまだやらないといけないことはたくさんある」と自分に言い聞かせるように話した。19年ぶりの優勝をつかみ取るため、カリスマ指揮官になるべく、背番号77の挑戦が始まった。【高垣誠】

 [2010年2月2日10時56分

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