涌井効果で、西武の新外国人に待望の1発が出た。4番中村の後を打つ5番打者として期待されるディー・ブラウン外野手(31=ドジャース3A)が13日、宮崎・南郷キャンプ初の紅白戦で来日“1号”を放った。3年目左腕・武隈の高めスライダーを、ライナーでバックスクリーンへ。横風が吹く中、一直線に伸びた力強い打球に、渡辺監督は「あの弾道で、あそこに打ったのは評価できる」と目を細めた。

 直前の練習が効いた。試合前、エース涌井とフリー打撃で対戦。勢いのある直球にバットは振り遅ればかりだったが、次第に目も慣れてライナー性を連発。その2日前には、涌井のブルペン投球で打席に立ち、ほぼすべての変化球を体感した。「日本でトップクラスの投球を見たのは収穫だった」とブラウン。一流投手のイメージによって、変化球にも難なく対応できた。

 調子が上がらず、スロー調整を心配する声もあったが、一振りで首脳陣を安心させた。左対左も苦にせず「気持ち良かった」と白い歯を見せた。この時期は期待していなかった渡辺監督も「予想外の1発が出た。顔がいいじゃん。悪人顔じゃない。性格もいい」とパワフルな体とは似つかぬ人懐こい笑顔に、日本での成功を予感している。

 日本語もナインから教えられて少しずつ上達。女性を見たら「カワイイ」と言うように、平尾、片岡らからイジられている。明るいチームカラーにも溶け込み、開幕から力を発揮してくれそうだ。【柴田猛夫】

 [2010年2月14日8時7分

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