横浜ベイスターズが地元の広告塔となる。横浜・元町の老舗ブランドがプロデュースしたオフィシャルスーツを着用した選手が、球団行事や遠征で、全国を飛び回る。尾花監督の船上就任会見に始まった地域密着戦略の一環だが、横浜の高木営業部長は「横浜を日本中に紹介するのもチームの役目」と説明する。

 横浜といえばファッションの街だ。70年代後半から80年代にかけて「ハマトラ」と呼ばれる横浜発のファッションが大流行した。「横浜ニュートラディショナル」の略で、横浜のフェリス女学院大の生徒をイメージして元町の老舗ショップでそろえたファッションスタイルが全国的なブームとなった。「フクゾーの洋服」「ミハマの靴」「キタムラのかばん」がハマトラの三種の神器といわれたが、気になる今回の中身は「信濃屋のスーツ」「フクゾーのワイシャツ」「ポピーのネクタイ」「スタージュエリーのカフス」「近沢レースのポケットチーフ」「キタムラのベルト・靴」。ミハマは女性靴が主力商品ということで、残念ながら見送りとなった。

 球団関係者によると6店舗7品の一式で約25万円ということだが、通常価格よりもかなりのディスカウントがされている。協同組合元町SS会の山田事務局長は「地元の球団に見える形で応援したかった。横浜はファッションでも野球でも何でも1番が好きな街。強くなって地元のイメージを上げてもらいたい」と話した。

 この日、横浜市内のホテルで行われた激励会で監督、コーチ、選手総勢88人がスーツ姿を初披露。尾花監督は「元町ブランドで身を包みチーム一丸。この姿勢で戦っていきたい」と意気込みを語った。新たなハマトラブームを作り出すことができるか?

 すべては今季の成績にかかっている。【鈴木良一】

 [2010年3月9日9時2分

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