<日本ハム4-8オリックス>◇30日◇東京ドーム

 開幕7戦目でついにお目覚めだ。オリックスT-岡田外野手(22)に今季1号ソロが誕生した。3回2死。糸数の初球、甘いスライダーだった。肉食恐竜ティラノサウルスの「T」を冠にする22歳が食らいついた。弾丸ライナーで右翼席へズドン。「最初の打席でヒットが出て積極性を忘れず、甘い球を打とうと」。狭い東京ドームならではの1発に岡田監督も「ここは出るわな」と高笑いだった。

 開幕5試合で17打数2安打、打率1割8分8厘と苦しんだ。「いつ外されてもおかしくない状況でした」。焦りからボール球に手を出す悪循環を自覚していた。岡田監督は6戦目の28日ソフトバンク戦で先発を外し、冷却期間をつくった。T-岡田自身もオープン戦の映像を見返し、力の抜けたフォームを脳裏に取り戻す努力を重ねてきた。

 6番左翼で2試合ぶりに復帰すると、2回2死走者なしで右前打。チームはこの一撃から一挙5点を先制した。8回の右前打で今季初の猛打賞。昨年は5月中旬に1軍昇格も、わずか8試合で降格。自らの力でピンチを脱出した今の姿に成長の跡がにじんだ。

 岡田監督は「今日の3本目で吹っ切れたやろ。低めを我慢しとけばいい結果出るわけやからな」とうなずいた。

 昨年借金30のチームが、早くも貯金5。周囲は昨年の最下位が、昨年王者を打ち破ったと見るが、指揮官は声を荒げて言う。「おれは去年、知らんもん!

 言うてるやん。うちは普通にやってるだけやん。今日の試合をどうするかだけ。優勝チームとか考えてないよ!

 」。周囲の先入観や、監督通算400勝王手など関係ない。目の前の敵を1つずつ、たたきのめすだけだ。【押谷謙爾】

 [2010年3月31日11時37分

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