<ソフトバンク9-1楽天>◇16日◇福岡ヤフードーム

 1427日ぶりのビックリ弾だ!

 ソフトバンク山崎勝己捕手(27)が、今季1号ソロを放ちチームを勝利に導いた。楽天戦の5回。藤原紘通投手(25)から左翼席に、味方ベンチも仰天のアーチをたたき込んだ。リードを4点に広げる1発は、06年5月20日(ヤクルト戦、神宮)以来となるプロ通算2本目。2回と6回にも適時打を放ち、猛打賞&4打点と大暴れ。これで勢いづいた打線は11安打9得点で連勝、貯金を2とした。

 今季、ベンチが最も沸いた1発だったに違いない。3点リードの5回裏。先頭で打席に入った山崎が、楽天の左腕藤原の初球を思いきり振り抜いた。打球は左翼へ。ベンチから行方を追った小久保の目と口が、大きく開いた。入った-。ベンチは笑いと拍手で大騒ぎ。無理もない。10年目捕手にとって通算2本目のアーチは、06年5月以来。うれしいような恥ずかしいような笑顔を浮かべ、4年ぶりにダイヤモンドを1周した。

 山崎

 まさか入ると思ってないんで、びっくりしてます。ヤフードームでの初本塁打。うれしいのひと言です。

 出合い頭ではない。捕手としての読みを生かした。1打席目は藤原の変化球を中堅へ適時二塁打。「前の打席で(藤原が)首を振って投げてきた変化球を打ったので、直球だけを待っていた」。2打席目に、狙い通り初球の直球を仕留めてみせた。

 ライバルのお株を奪った。昨季チームトップの26発を放ち正捕手の座をつかんだ田上が、今季は開幕から不調。リード面に定評のある山崎にも出場の機会が増えた。今季22試合を消化し先発マスクをかぶった試合は、ともに11試合ずつ。田上が先発した試合は13被弾で4勝7敗、山崎の場合は4被弾で8勝3敗。この日も、杉内が本調子じゃないと判断し「コースじゃなくて、緩急で勝負した」。洞察力と、繊細なリードで扇の要を務めた。

 06、07年は2年連続で100試合以上出場したが、昨季は30試合の出場にとどまった。田上の大ブレークに押された形。ただ、腐らずに「自分のアピールできるところは守備」と、オフを乗り越え10年目に挑んだ。

 ライバルではあるが3学年上の田上とは、プライベートでも大の仲良しだ。ともに競艇ファンの2人。オフなどに一緒に福岡競艇に足を運ぶほか、遠征先での外食でも趣味の話で盛り上がる。この日の1発も、満面の笑みでライバルは迎えてくれた。「刺激し合ってお互いがうまくなればいい」。切磋琢磨(せっさたくま)が、チームを優勝に導くことを信じている。【倉成孝史】

 [2010年4月17日11時30分

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