<巨人2-1横浜>◇20日◇京セラドーム大阪

 「坂」がダメでも「松」がある。巨人最年少での20試合連続安打のかかった1番坂本勇人内野手(21)は無安打に終わったが、2番の松本哲也外野手(25)が3安打を放ち、8回には李承■内野手(33)の押し出し四球で決勝のホームを踏んだ。負ければ2位の阪神と中日に0・5ゲーム差に肉薄されるピンチだったが、リーグ首位打者が救った。

 ギラリと目を光らせた。一塁走者の松本はランドルフの投球フォームに焦点を絞った。1回1死一塁、4度のけん制を受けながら、2球目にスタート。勢いよく、二塁ベースに滑り込んだ。直前には坂本が二盗に失敗。重圧のかかる場面だが「自分は自分でチャンスがあったらやっていこう」。不動の2番を勝ち取った男に、迷いはなかった。2死後、ラミレスの左前打で同点のホームを踏んだ。

 3回には松本の足が、ランドルフの投球と心を乱した。1死、一塁へ高いバウンドのゴロを放った。快足を飛ばし、楽々の内野安打。ランドルフのいら立ちは頂点だった。小笠原への1球目にボークで進塁。「ああいうミスが出るのは、プレッシャーを与えられていたのかな」。横浜バッテリーを浮足立たせた。

 勝ち越しのホームを踏んだのも、松本だった。同点で迎えた8回、中前打で出塁。今季6度目となる猛打賞でチャンスメークした。「何とか出塁していこうと。チャンスをつくれば、後にはすごいバッターがいますから」。李の押し出し四球で生還した。

 昨年の春季キャンプ。最初の休養日に、宮崎市内の眼科へ向かった。コンタクトレンズを新調するためだった。市内の病院をインターネットで検索。一から視力検査するほどの力の入れようだった。「すごく目に合うし、全然見え方が違う。“目”が僕の生命線になりますから」。盗塁時、投手の微妙な動作、クセを見抜くための最高の“相(EYE)棒”をゲットした。

 144試合に換算すれば、得点は171、盗塁は75と驚異のペース。原監督は「見事ですね。相手に合わせることなく、自分の打撃をやり抜いている」と絶賛した。坂本の連続試合安打は止まったが、続く松本が首位打者に返り咲く3安打でしっかりつないだ。「こんな成績が残っているのは自分でもビックリ」と体を丸める姿が謙虚な松本らしかった。【久保賢吾】※■は火へんに華

 [2010年4月21日9時45分

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