<オリックス7-2横浜>◇13日◇京セラドーム大阪

 もう「アレ」ちゃうで。優勝やで!

 岡田オリックスが交流戦初優勝を決めた。最終戦で横浜に快勝し、3連勝フィニッシュ。引き分け以上なら優勝という試合で、自慢の打撃陣がまた爆発した。岡田彰布監督(52)は、勝ち越し2ランのT-岡田外野手(22)をはじめ、昨年借金30で最下位だったナインの成長に目を細めた。平常心で戦うため「優勝」を禁句にしていたが、笑顔満開で3度「優勝」と口にした。オリックスは賞金5000万円を獲得。交流戦が導入された05年から6年連続でパ・リーグ勢が制した。

 岸田から差し出されたウイニングボールは苦笑いで「いい、いい」と拒んだ。「まだ途中やからな」。そう説明した岡田監督の表情は緩みっぱなしだった。

 「優勝ですが」と質問者に聞かれるたび「優勝とかは考えてなかったけど…」。ようやく解禁されたNGワードを3度繰り返した。表彰式に記念撮影。昨年最下位の悪夢を考えれば、まぶすぎる光景だった。

 目前にぶら下がった賞金も意識せず(?)1球に集中してきたナインには2位西武の動向など関係ない。初回にカブレラの適時打、T-岡田の2ランで逆転。自力で優勝を決めた。7日の広島戦で25安打21得点するなど、交流戦3割打者がズラリ。チーム打率は12球団ダントツの2割9分7厘だ。

 「大砲がいない中でどう点を取るかとか色んな意味で収穫があったよ。2回り目からは手応えがあった。選手も相当、何かをつかんでいると思うよ。試合運びというかな」。序盤にカブレラ、ラロッカ、T-岡田の離脱があったが、逆に各打者に「つなぎ」の意識が芽生えた。

 交流戦直前に岸田を抑えに転向させ、平野-レスター-岸田の必勝リレーを確立。逃げ切り態勢が固まると、先発陣にも打線にも好影響が出た。「こういう形で戦うというのができてきた」とうなずく。

 阪神で5年間戦った経験を生かし、ミーティングで情報を伝授。日高は「監督がセ・リーグを知っているという安心感があった」。自分の知識に加え、尊敬する故仰木彬元監督がそうしたようにデータ解析に労力をさいた。分析係は明け方まで球場に残ることも。島袋チーフスコアラーは開幕後5キロもやせた。

 予告先発のない交流戦。敵を惑わした一方、相手投手の予想が外れたのは1試合。「スコアラーも一生懸命やったよ」。コーチ陣とも連係を密にし、ホテルの食事会場では何度もビール片手に数時間の即席座談会が開かれた。

 「借金返すのが目標だったけど、いいはずみになる。(交流戦Vで)勢いがつくのは今までで実証されてるからな」。初タイトルで一皮むけた岡田オリックス。今度はもっと大きな「アレ」に照準を定める。

 [2010年6月14日11時54分

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