<横浜3-7阪神>◇19日◇横浜

 ブオオ~と吹き荒れるのはブブゼラだけと違いまっせ。トラの助っ人クレイグ・ブラゼル内野手(30)が5回にとどめの1発。4番新井貴浩内野手(33)と今季3度目のアベック弾を決め、両リーグ20号一番乗りを果たした。つなぎありアーチありとハデに7得点した阪神は貯金を最多タイの7とし、首位巨人に2・5ゲーム差とジワリ。真弓明信監督(56)の通算100勝を華やかに盛り上げた。

 まだ痛む下唇をかみしめ、少しやせた全身をフル稼働させた。ブラゼルの強振によって、打球は軽々と右中間席中段へ。虎の怪力助っ人が両リーグ最速の20号ソロで勝利を決定づけた。

 「5日間ゲームから離れていたし、良いスイングでヒットを打ちたかった」。

 5回無死。新井の左中間ソロで5点リードとした直後。横浜大家にトドメを刺した。カウントは2-1。低めのチェンジアップをミートし、2者連続弾を完成させた。阪神では04年アリアス以来、6年ぶりの助っ人20号を記録した。

 決して万全ではないから驚きだ。10日西武戦(西武ドーム)で自打球を顔面に当て、下唇を6針縫った。食事を口に運ぶことにも苦労し、飲み物もストローを使わないと飲めない。食後は消毒のため、うがいを繰り返した。「(この1週間で)体重が3キロ減ったよ…」。そんな状態にもかかわらず、負傷した次戦からの3戦連発。17日には抜糸し、普段に近い食生活を送れるようになった。手負いの状態でパワーを全開した。

 負傷でストレスがたまる毎日。それでもラニー夫人を思う気持ちは忘れない。雨天中止になった前日18日の練習前。ブラゼルは午前中、横浜市内の高級ブランド店を歩き回った。「今回も遠征で10日間ぐらい家を空けるだろ?

 その間も妻は子供の面倒を見てくれているんだから」。『プラダ』の高級バッグを購入し、すぐさま神戸市内の自宅に郵送。敵地での試合が多い6月、変わらず支えてくれる妻へのプレゼント。そして1番の贈り物は、負傷を感じさせないグラウンド上の勇姿だ。

 途中入団した昨季は82試合で16発を記録したが、今季は60試合で20発。3試合に1発、年間48発のハイペースをキープする。良き夫&良き助っ人を地で行くブラ砲。ペナントレースとともにキング争いで主役を張る。

 [2010年6月20日11時42分

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