<横浜14-6阪神>◇20日◇横浜

 勝利の瞬間を待っていた横浜ファンを沈黙させた。阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)が、9点ビハインドの9回2死で打席に立った。「あと1人」コールの中で江尻が投じた初球の外角直球をフルスイング。一直線に伸びた打球は阪神ファンで黄色く染まった左翼席に着弾した。最後まで応援してくれたファンに、自慢の豪快アーチを届けた。

 阪神の決定力だ。今季3度目となる1試合2発。先発フォッサムが崩れて5点差をつけられた5回2死一塁では清水の外角低めシュートを左中間に運ぶ21号2ラン。「ずっと外、外と攻められていたから、左方向を意識していた。いい形で打てた」。同じデーゲームで中日と対戦した巨人阿部が同じく21号を放ったが、B砲は負けていない。最終回の2発目は本塁打王争いで単独トップにおどり出る22号ソロとなった。

 これで4戦連発。昨年6月11日西武戦から同16日日本ハム戦までマークした自己記録に並んだ。しかもリーグ再開前の休みと雨天中止を合わせた5日間の試合ブランクをものともせずに4戦5発とホームランを量産。豪快スイングが持ち味だけに「5日間ぐらい空いたらタイミングのリズムを取り戻すのに時間がかかっていた」という。現在は生きた球をじっくりと見ることで打撃感覚を調整している。この日の練習でも豪快アーチを連発し、試合前から横浜ファンのため息を誘っていた。「今日はちょっと戻ってきたかなと思う。これに満足せずにいい結果を続けていきたい」と言った。

 試合に敗れて、ブラゼルの2発は空砲となった。しかしB砲の決定力は相手投手にとって脅威。「毎日良くなろうと思っていた」とブラゼル。22日広島戦では勝利につながる自己新記録の5試合連続アーチをぶっ放す。

 [2010年6月21日10時59分

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