<広島4-9阪神>◇23日◇米子

 広島のベテラン石井琢朗内野手(39)が、快挙にダブル王手をかけた。23日の対阪神戦にスタメン出場し、7回に右前打を放って東出の二塁打で得点も記録。この安打が通算2369本目で、2371安打で歴代10位の落合博満(現中日監督)に2本差と迫った。得点も通算1279点となり歴代10位の清原和博氏(元オリックス)に1点差。試合には敗れ手痛い3連敗となったが、25日からの中日3連戦(ナゴヤドーム)では、敵将の前でダブル歴代10傑入りを果たし、チームを勝利に導く。

 険しい表情が、石井の悔しさを表していた。1点差に迫った8回2死二塁、一打同点の場面。この日4度目の打席で、阪神3番手西村の133キロのストレートにバットが空を切った。「(阪神が)一、二塁間を空けていて、外角に投げて来るのかどうか、迷ってしまった」と天を仰いだ。その直後の9回、決定的な4点を失い、チームは3連敗。自身、長いキャリアの中で初めての鳥取米子での試合だったが、最悪の結果に肩を落とした。

 だが、石井は22年目となるプロ生活で、ひとつの節目にたどりつこうとしている。7回に右前打を放ち、暴投で二進後、東出の二塁打でチーム3点目のホームも踏んだ。この安打と得点が、偉大な先人たちへまた一歩、近づくことになった。

 安打は中日落合監督が積み重ねた通算2371安打にあと2本と迫り、得点は西武、巨人、オリックスで活躍した清原氏の1280得点にあと1点とした。この2つの通算記録は、いずれも歴代通算10位。長いプロ野球の歴史の中でベストテン入りに王手をかけた。

 石井は「メジャーに行ってるイチローくんや松井くんも含めればそこまでではないし、金本さんもいずれは追い抜くでしょう。歴代10位と言われても、記録に関しては特に気にしていません」と素っ気ない。

 個人の栄誉よりも、チームの勝利が欲しい。序盤にチームが不振に陥ったときには、選手だけでのミーティングを発案し、ナインを発奮させようとしたこともある。横浜から移籍して2年目、8月に40歳になるベテランは勝つことのみに執念を燃やす。25日からは3位中日との3連戦。敵将落合監督の前で記録を抜き去り、チームも勝利に導いてみせる。【高垣

 誠】

 [2010年6月24日11時37分

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