<オリックス2-9ソフトバンク>◇17日◇京セラドーム大阪

 敵城陥落だ!

 ソフトバンクが伏兵2人の活躍で、18日ぶりの2位に浮上した。「大坂夏の陣」と銘打ったイベントを仕掛けていたオリックスを、9番田上秀則捕手(30)と2番本多雄一内野手(25)の4打点そろい踏みで粉砕した。田上は5号ソロ、本多は3号2ランとアーチでも競演。伏兵の強襲で11安打9得点と大勝し、カード勝ち越しは6カードぶり。さあ天下統一へ、所沢のライオンズ城も攻め落とす!

 オリックス岡田監督は心の中で叫んだに違いない。「伏兵が、潜んでやがった!」。決して大砲、主砲ではない2人が、敵城を陥落させた。

 4点リードの4回表2死。9番田上がオリックス小松の2球目をとらえた。135キロの内角高め直球を、刀を振りかざすようにバッサリ。「完ぺきでした」。グングン伸びた打球は、左翼5階席に着弾した。

 特大弾のざわつきが消えないうちに、2番本多が続いた。1ボールからの内角高めカーブを、体全体で回転するようにスイング。右翼席へ飛び込む2ラン。電光石火の攻撃で3点を奪い、試合を決めた。

 相手のスキをつく、戦いの基本を実践した。オリックスが「大坂夏の陣」と銘打った3連戦。負け越しだけは逃れようと、赤い戦闘服に身をつつんだ敵も必死だった。気合満点の相手先発小松は、2回2死まで3奪三振の完全投球。だが2死走者なしから、初めて来た甘い球をペタジーニが右前打した。そこから4本の長短打を集中させ、5得点の先制攻撃に成功した。田上が満塁走者を一掃する先制二塁打。本多が2点二塁打とこちらも決めたのは伏兵だった。「2死から集中していたね」。4回までにクリーンアップが無安打ながら、2イニングで2死から計8点を奪った戦い方に秋山監督も満足げだ。

 田上は、敵城陥落に人一倍燃えていた。試合開始前、大型ビジョンにクイズが出題された。「昨季、山崎選手が隠し球を成功させた選手は誰でしょう?」。昨年6月30日、高校の1学年後輩であるオリックス山崎に隠し球をくらった。クイズが派手に出題されると、遠くにいた山崎を呼び寄せ「何してくれてんねん」と赤面。十分に反省した1年以上も前の出来事をぶり返されては、バットで仕返しをするしかなかった。

 11安打9得点で6カードぶりの勝ち越しを決めたが、それ以上に価値ある1勝だ。中盤までに大量得点を取ったことで、小久保と多村は途中交代。前日の試合で右足を痛めていたオーティズと右ひざを痛めた松中も含め、主力に休養を与える余裕も生まれた。「(主力は)疲労が蓄積しているだろうから」と大石ヘッドコーチ。ともに4打点を挙げた伏兵2人の活躍で、勝負の後半戦を見据えて岡田オリックスを陥落させた。18日ぶりに2位に浮上したソフトバンクが、天下統一へ突き進む。

 [2010年7月18日12時1分

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