<広島0-6中日>◇18日◇マツダスタジアム

 チェンも続いた!

 中日チェン・ウェイン投手(24)が広島に3安打完封勝ちし、自己最多タイの8勝目を挙げた。山井、中田賢に続く3人連続完封は、同一カードでは球団初の快挙。チームの貯金を約2カ月ぶりに4に増やし、04年の落合政権誕生から7年連続の前半戦勝ち越しターンも確定させた。本来の力を取り戻した投手陣が、4差に迫った首位巨人に食らいついていく。

 途中でマウンドを降りるわけにはいかなかった。9回2死。広瀬のフェンス際への大飛球がセンター大島のグラブに収まると、チェンはホッとした笑顔を浮かべ、張り詰めていたほおを一気に緩ませた。この日投げた球数は自己最多の145球。だが、未体験ゾーンに突入しても、完封への執念は変わらなかった。

 「(3試合連続完封の)プレッシャーはなかったです。でも、行けるところまでいきたいと思っていた。打線が打って点が入ったので、楽な気持ちで投げられた。途中からは疲れもあったけど、意識しないようにして投げました」。

 最大のピンチは7回。1死から四球と連続安打で満塁のピンチを招いた。だが小窪を三飛に打ち取ると、倉をスライダーで空振り三振。「ストライクを取りにいくと逆に打たれる。長打になれば2点入って嫌なので、四球でもいいから思い切り腕を振ろうと思って投げたら、相手が振ってくれた」。開き直りが逆に、結果につながった。

 チェンはその後も、9回の先頭赤松まで5者連続三振。試合後にはスコアラーから、前日148球を投げた中田賢よりも3球少なかったことを聞き「あと3つか~」と強がってみせた。同じ先発ローテを任される身として、前日まで連続完封した山井、中田賢に負けるわけにはいかなかった。

 3歳年上の中田賢は、ライバルでもあり、兄のような存在でもある。グラウンドでは、日ごろからキャッチボール相手を務め、タイムを計るダッシュではライバル心をむき出しにする。免許のなかった昨年までは、練習後、中田賢に車で自宅まで送ってもらうことも多かった。そんな中田賢が山井に続いて完封勝ちを挙げ、チェンも闘志を燃やしていた。

 今季はビジターでの苦手意識が強かった中日だが、これで敵地で今季初の同一カード3連勝。山井、中田賢に続いたチェンに、落合監督も「完封するのは大変なこと。それだけチェンがよかったということだ。まあでもすべての流れを作ったのが山井だ。山井があそこでいったから、オレもオレもと続いたんだ」と、目を細めた。

 先輩2人に続いての、3日連続の完封勝利。「最高です。これからもどんどん(調子を)上げていきたいですね」。もう勢いは止まらない。次回登板は27日からの巨人戦が濃厚。逆転Vに向け、後半戦でのG逆襲の準備が整った。【福岡吉央】

 [2010年7月19日11時45分

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