ブランコに“逆転キング”の使者が来た!

 中日のトマス・デラロサ育成担当(33)が2日、打撃不振に陥っている主砲トニ・ブランコ内野手(29)のもとに送り込まれた。昨季まで選手としてプレーした同氏は、今季からドミニカ共和国出身選手の世話役を務めている。前日まで2軍にいたが、ブランコを救うべく緊急合流し今後も1軍に帯同。精神面で悩める主砲を支え、2年連続キングにバックアップする。

 甲高い笑い声が神宮の杜に響いた。声の主はチーム内で“パパ”の愛称で呼ばれるデラロサだった。

 「ブランコの世話をするために来たんだよ。何でもするよ。もちろん食事だって一緒にするさ」。

 明るい性格に触発されたのか、笑顔が遠ざかっていたブランコも「彼はドミニカの時から同じチームでやってきたからね。いろいろと話すことがあるんだ」と終始ご機嫌だった。

 主砲から笑顔が消えたのも無理はない。打撃不振は深刻を極めている。後半戦5試合で25打数4安打。2本塁打を放ってはいるが、打率1割6分とからっきしだ。この日は若手中心の練習に飛び入り参加。神宮球場の室内練習場でランニング、フリー打撃など約2時間の練習に集中した。なりふり構ってはいられない。待ったなしの状態なのだ。

 そんな悩める主砲に首脳陣が新たな作戦を実行した。それが、精神面のサポートだった。兄のように慕うデラロサの合流に気分を良くしたのか、報道陣から打撃不振を問われ「苦しんでる?

 もうちょっと、おなかを引っ込めれば大丈夫さ」と笑顔でジョークを飛ばす余裕も出てきた。

 「良いときもあれば、悪いときもある。これからどうなるかは分からない」。現在、ホームランは23本。34発の巨人ラミレスらに差をつけられている。だが、2年連続の本塁打王をあきらめたわけではない。もちろんチームの逆転優勝も、ブランコのお目覚めが不可欠だ。練習を終えて宿舎に戻ると、さっそくデラロサと食事に出かけた。強力援軍“パパ”を得たからには、爆発するしかない。【桝井聡】

 [2010年8月3日11時28分

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