<中日3-0巨人>◇19日◇ナゴヤドーム

 借りは返す!

 中日荒木雅博内野手(32)が決勝タイムリーでリベン「G」だ。0-0で迎えた2回2死満塁、巨人先発内海の初球を狙った。外角直球をとらえると、鋭く中前へ抜けていった。2位浮上のかかった緊迫の試合で重い、重い2点をもたらした。

 「昨日と同じだってことはわかってました。昨日は散々だったんで、今日は何とか打ちたかった」。

 打席に向かう前、荒木の頭には24時間前の光景が浮かんでいた。18日、2回2死満塁、まったく同じ場面で東野の前に左飛に倒れた。天を仰いで無念さを表現した。8月は打率3割3分3厘と好調の荒木だが、1つの凡退の悔しさが忘れられなかった。それほど宿敵巨人との対戦に燃えていた。

 落合竜らしく相手のミスを見逃さなかった。満塁の発端は、1死一塁から中村の二塁へのゴロを巨人エドガーがトンネルしたこと。もらった好機を確実にしとめた。「よくやってくれました。ありがとう。うちもよく(失策を)やっていますから」。3連覇中の王者がくれた思わぬプレゼントに落合監督も感謝の意を表した。

 日本一になった1954年当時を復刻した白と濃紺のユニホームで巨人を3タテ。本拠地12連勝の球団タイ記録を打ち立てた。くしくもナゴヤ球場時代に12連勝したのは54年の8月から。「そうなんですか。それは何かあるんでしょうね」。まるで56年前を再現するかのような快進撃に荒木も因縁を感じていた。ユニホームだけでなく、リーグ優勝&日本一という歓喜の再現も現実味を帯びてきた。【鈴木忠平】

 [2010年8月20日11時13分

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