海外修行でスケールアップじゃ!

 広島岩本貴裕外野手(24)が10月下旬に台湾で行われるインターコンチネンタル杯の日本代表に選出されることが5日、分かった。今季は1軍でチーム最多タイの14本塁打をマークするなど、長距離砲としての素質を開花させつつある。公式戦は残り3試合だが、国際試合でプレーして、さらなるレベルアップを目指す。広島からは小窪哲也内野手(25)会沢翼捕手(22)中田廉投手(20)も選出される予定。

 伸び盛りのスラッガーが日の丸の大舞台で力量を磨く。今季、大砲としての力量を発揮した岩本が、23日から台湾で行われるインターコンチネンタル杯に出場することが決定。球団関係者は「自分の実力をつけるためにも理想的だと思う。いろんな国の選手が出るわけだからね」と説明する。キューバ、韓国などの強豪と覇を競う国際試合。8日間の真剣勝負はレベルアップのチャンスになる。

 一流への登竜門だ。99年大会には広島黒田(現ドジャース)が出場。2試合の登板で2勝を挙げ「国際大会はシーズンと違った緊張感がありました。そういう経験をできたのは自分にとってプラス」と振り返る。翌00年に9勝をマークし、エースへの階段を駆け上がった。02年大会では中日井端、ダイエー川崎らがプレーするなど、トップ選手への足掛かりになっている。

 岩本もプロ2年目の今季は、急成長。シーズン序盤こそ1、2軍を行き来したが、7月から1軍に定着した。ファームでマスターしたノーステップ打法が奏功して、同4日横浜戦(マツダ)で清水からプロ初本塁打を放つなど、月間6本塁打を量産した。8月上旬は試行錯誤を繰り返したが同下旬に大暴れ。20日横浜戦(マツダ)から10試合で8本塁打をマークして、大ブレークを果たした。

 願ってもない“延長戦”だ。9月には発熱による体調不良のため、2週間あまりの2軍暮らしを強いられた。1軍復帰初戦の同29日横浜戦(マツダ)は代打で中前適時打をマーク。今季の本拠地最終戦だった10月3日阪神戦でも2安打2打点の大活躍を見せた。野村監督も「今年で終わるわけじゃない。今年をステップとして来季以降…。岩本もアクシデントから、いい結果を出してくれた。期待する選手として注目する。しっかり鍛えて練習もやらせる」と話すなど、“強化指定選手”に挙げていた。

 この日はマツダスタジアム内で汗を流した。6日ヤクルト戦(神宮)からラストスパートに入る。岩本は言う。「あと3試合。無心でやるだけですね。頑張ります」。亜大時代には日米大学野球で日本代表に選出された。再び日の丸のユニホームに袖を通し、もうワンランク上を目指す。

 [2010年10月6日10時50分

 紙面から]ソーシャルブックマーク