阪神が来季でプロ20年目を迎える金本知憲外野手(42)に対し、年俸3億円を基本線とする単年契約を提示する方向であることが22日、分かった。今季は右肩痛に苦しみ、打率2割4分1厘、16本塁打と本領を発揮できなかった。大幅ダウンとなるが、球団は来季の復活を期待。1億円を超える“青天井”の出来高を加える方針だ。金本はFA権を取得しており、貴重な戦力として残留交渉に全力を尽くすことになる。

 阪神が来季でプロ20年目を迎える金本に対する契約条件の方向性を固めた。今季年俸から1億5000万円ダウンとなる3億円を基本線に単年契約を提示する予定だ。今季開幕直前に右肩を負傷。フルイニング出場が途切れ、CSファーストステージの巨人第2戦では12年ぶりの欠場も経験した。阪神移籍後、最低となる打率2割4分1厘、16本塁打。アクシデントによる成績悪化だが、大幅ダウンはやむなしの判断となった。

 それでも球団では、来季も貴重な戦力と考えている。金本は8月に自身3度目のFA権を取得。権利の行使については、まだ自らの意思を明らかにしていない。南球団社長は「来年もやってもらう」と残留要請を明言しており、近く交渉に臨む。それに対して、ダウンの単年契約だけで誠意を示す考えはない。球団首脳は言う。「実力的にはまだまだやれるはずだ。出来高ならば、いくらでも用意できる」。年俸3億円に、いわば“青天井”の出来高を加えるプランだ。

 今回の方針は、復活への期待の大きさを表している。右肩痛は「はしを持つ時も、左手で(右)ひじを支えんと持てん」と言うほどの重症。しかし金本はこれまでのキャリアで何度も苦難を乗り越えている。完調さえすれば、まだまだ主砲として活躍できると見ている。球団は出来高の額について、1億円を超える条件も想定している。条件をクリアすれば、今季年俸の4億5000万円に戻る可能性もある。来季で43歳になるベテランに対しては、異例の厚遇とも言える。

 この日、金本は西宮市のクラブハウスに姿を見せた。シーズン終了後、完全休養をとらずに、連日リハビリに励んでいる。胸中を明かすことはないが、来季にかける思いがヒシヒシと伝わってくる。かなわなかったV奪還に必要不可欠なチームの顔。負傷さえなければ、来季も4番を託せる大黒柱だ。球団は年俸3億円プラス破格の出来高で、チーム残留に全力を尽くすことになる。

 [2010年10月23日11時25分

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