左ひじ手術からの復活を期す阪神岩田稔投手(26)が23日、来季にかける思いを激白した。先発を予定していたフェニックス・リーグ楽天戦(生目第2)が雨天中止となり、24日ヤクルト戦(西都)でスライド登板する見込みとなった。復帰戦が2戦連続で流れたが、満を持して約7カ月ぶりの実戦復帰を果たす。3月に手術を受けてからリハビリに専念しており、雪辱への思いを語った。

 雨が途切れない宮崎。岩田の表情は決して緩まない。この日23日に予定されていた復帰戦、フェニックス・リーグ楽天戦(生目第2)は雨天中止。注目の登板は24日ヤクルト戦に持ち越しとなった。左ひじ手術から約7カ月ぶりの実戦。ようやくたどり着いた今季最後のマウンドは、来季に向けた第1歩になる。

 岩田

 緊張するかもしれない。自分にとっては大事な試合だと思う。早く投げたい。来年につなげるために、どうするか。今年投げて終わるのと、投げないで終えるのでは気持ちが違う。登板後のひじの張り(がわかったり)とか「こんなものかな」と目安ができる。打たれるどうこうより、そこです。もしかしたらちゃんと投げられないんじゃないか、という気持ちが今、ある。それを消し去るためにも、今回の試合で(患部の状態を)確かめたい。

 08年は10勝。09年は左肩痛で大きく出遅れながら7勝。今季は開幕投手の有力候補に挙がりながら、2月の沖縄キャンプ中に「左ひじ変形関節炎」を発症。シーズン開幕直前の3月23日、大阪市内の病院で「左ひじ関節形成術及び靱帯(じんたい)修復術」を行った。長期離脱を覚悟しての決断。悔しさ、申し訳なさを押し殺し、前を向くしかなかった。

 岩田

 去年の肩痛は治せば、また投げられた。今回は手術。メスを入れたわけだから(リハビリが)長くなるのは分かっていた。「ちゃんと治すんだ」と、手術すると決めた時点で切り替えるしかなかった。

 ちょうど8年前のこの日。02年10月23日、関大1年の秋にも、左ひじの軟骨除去手術を受けている。翌03年の春季リーグにはマウンドに立ったが、あの時とは立場が違う。「気持ちも全然違いますよ」。人生2度目の手術は、今後のプロ生活を左右する分岐点になりかねない。だから、3月14日・教育リーグ中日戦以来の復帰マウンドを大事にしたい。この日は生目の杜・運動公園の室内練習場でキャッチボール、ダッシュ、ノックに汗を流し、ネット投球も入念に行った。

 岩田

 少しフォームが崩れて変な感じだったので。(リハビリ明けのため)連投やピッチングをできない分、何とかキャッチボールで修正しないと。体が捕手方向に向いた時、腕が一塁側に流れていた。(08年の)良い時を知ってくれている続木さん(2軍トレーニングコーチ)にも受けてもらって修正できました。

 韓国ハンファと練習場が重なり、09年WBC日本代表コーチだった同チーム高代総合コーチから激励も受けた。宮崎は24日も悪天候が予想され、復帰戦はさらに先延ばしとなる可能性もあるが、フェニックス・リーグ中に登板することだけは間違いない。

 岩田

 2年続けてチームに迷惑をかけてしまった。今はしっかり治して来年につなげることしかできないので。

 大事な大事な復帰マウンド。2011年へ、思いを込め、慎重に再スタートを切る。

 [2010年10月24日11時2分

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