西武のドラフト1位大石達也投手(22=早大)は2日、宮崎・南郷キャンプで初めて捕手を座らせて60球。最速155キロの速球だけでなく、コントロールの良さで周囲をうならせた。

 剛腕のイメージにそぐわぬ“精密機械”ぶりだった。大石がこの日ブルペンで投じたのは60球。そのうちストライクが38球。キャンプで初めて捕手を座らせた本格投球でも、バラつかない。さらにすごいのが、捕手のミットの動きが少ないこと。本人は「横のブレはなかったけど、高低がまだ」と納得していないが、受けた上本の反応は違った。「中に入ることが多いって言ってたけど、そんなことはない。右打者の外角にシュート回転したのが1球。それを気にしてたけど、どんだけすごいんだって感じですよ」と、厳しい自己採点にあきれ気味に称賛した。

 審判に判定してもらい、初体験したプロのストライクゾーンにも大石は「両サイドは大学に比べて狭い感じですけど、低めは結構取ってくれる感じです」と頼もしかった。石井丈投手コーチは、投球後のマウンドを見て、確信をもったという。「足跡がはっきり残っていたのを見て、なるほどと思った。踏み出した足がぶれない証拠。それができるから、下半身を使ったフォームで投げられる」。これが外角低めに直球を投げ込む、いわゆる「原点能力」の高さにつながる。首脳陣がまず大石に求めていたものでもあった。

 課題も見つかった。大学時代の抑えから先発に転向する右腕に立ちはだかるのがスタミナの壁。渡辺監督は球質、制球力を評価しつつ「下(半身)が使えててどっしりしてるけど、それを持続するスタミナはまだない」と指摘した。だからこそ「オープン戦に入ってもキャンプのノリかな。1年間かけて、つくりながら投げていけばいい。スタミナがついてくればいつでもいける」と、時間無制限の“ロングキャンプ”で育てていく。大石自身も左手の使い方を試行錯誤するなど、フォームを模索中で焦る様子はない。「先発・大石」という大輪の花は、時間をかけてでも咲かせる価値がある。【亀山泰宏】

 [2011年2月3日8時39分

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