阪神が中日で今季5勝1敗と好成績を挙げたエンジェルベルト・ソト投手(29)の獲得調査に乗り出すことが22日、明らかになった。今季で1年契約が切れる左腕に球団幹部が興味を示したもの。投手力強化を目指し、阪神も4試合で2勝無敗と苦しめられた虎キラーの動向を追いかける。

 新監督を迎えて再スタートする阪神が、水面下で来季に向けた動きを活発化させてきた。戦力アップへ幅広く調査を進めていく中で、中日ソトの名前が挙がった。球団幹部はこの日「ソトは、いい投手」と興味を示した。

 ソトといえば、阪神ファンなら顔も見たくない阪神キラーだ。7月28日の初対戦から6回0封、7回0封と阪神打線を抑え込み、4試合で2勝無敗、防御率1・71。年間通しても22試合で5勝1敗、防御率1・73の好成績だった。

 左のスリークオーターから制球よく繰り出すクセ球に、各打者は手を焼いた。先発、中継ぎをこなして中日のリーグ連覇に貢献した。だが中日は落合監督が退任したことで来季のチーム構想も大きく変わる。1年契約が切れるソトも去就のメドが立っておらず、阪神にとっては狙いどころだ。

 金額も大きな魅力になる。ベネズエラ出身で、米球界以外にイタリアでもプレー経験がある苦労人。今年2月に入団テストに合格し、年俸わずか7万ドル(約560万円)で契約した。来季は大幅アップが見込まれているが、それでも来日1年目で残した実績と実力に照らし合わせればリーズナブルといえる。

 阪神は、スタンリッジと契約更新するか微妙な状況になっている。昨年からプレーするメッセンジャー、スタンリッジの助っ人右腕2人はある程度の計算が立つものの、フロントは6年連続で優勝を逃したことを受け、リスクを恐れず新外国人の獲得を検討していく姿勢でいる。

 もし、中日退団が決まれば他球団との競合になるのは必至。投手力強化はV奪回への大きなテーマだけに、他の候補にも目を光らせながらソトの動向を慎重に見極めていく。