<日本シリーズ:中日2-4ソフトバンク>◇第3戦◇15日◇ナゴヤドーム

 ズンドコ弾が、奮闘する投手陣を救った。8回表1死走者なし。中日の粘りを投手陣が必死にしのぎ、リードを守って迎えた終盤だ。好リードで支えてきたソフトバンク細川亨捕手(31)が、中日鈴木の内に甘く入った変化球をかっ飛ばした。打った瞬間!

 の当たり。「たまたま振ったら当たった」。今季レギュラーシーズン97試合264打席で1本塁打の男が、照れたように日本シリーズ1号を振り返った。西武時代を含め日本シリーズ14戦目。アーチはもちろん、打点もこれが初だった。

 立ち上がりからリードし続けていても、苦しい展開だった。本拠地で1、2戦とも延長の激闘を競り負けた。4回に多村の2ランで3点差としたが、じわじわと攻め込んでくる落合竜の脅威が迫っていた。8回裏には、失策からイヤな1点を奪われた。細川の1発がなければ1点差。「どんな形でも1点がほしかったところだから」。細川も大きな仕事を感じていた。

 移籍1年目。経験豊富な守りの面でチームに貢献できても、打撃では苦しんだ。シーズン打率2割1厘。西武とのCSでは5打数無安打、日本シリーズでも3打数無安打と快音は響かなかった。しかし、名古屋決戦では最初の打席で鮮やかにバスターを決めて初安打。第3打席でも、技ありで右前に落とし、猛打賞の活躍だ。「3本はたまたま。まだ1勝。ひとつひとつです」。逆転日本一へ、細川が頼もしい女房となる。