球界を揺るがした「清武事件」の裁判が始まった。巨人前球団代表の清武英利氏(61)が巨人渡辺恒雄球団会長(85)を批判して解任された問題で、清武氏側と球団側が互いに名誉毀損(きそん)などで訴えた2件の訴訟の第1回口頭弁論が2日、東京地裁で行われた。清武氏は自ら出廷して意見陳述し「思い付きで確定人事を覆す渡辺恒雄球団会長の『鶴の一声』を許すことができなかった。私はこの訴訟で球団は誰のものなのか、ということを粘り強く訴え続けていきたい」と、主張した。

 清武氏が渡辺会長にコーチ人事を報告した際の2人のやりとりが焦点になった場合、今後は渡辺会長本人が法廷に出てくる可能性もある。清武氏の代理人を務める吉峯啓晴弁護士は「渡辺さんが言ったことについて他の人が出てきても証拠にはならない。証人として出廷することは不可欠だと思います。当然申請はします。先方は出したくないかもしれませんけど」と、証人尋問を請求する考えを明かした。

 一方の球団側は、渡辺会長が「最高級の弁護士を10人用意する」と豪語した通り、11人の弁護団を結成して裁判に臨んだ。球団側の喜田村洋一弁護士は、渡辺会長の出廷について「確定的なことは言えないが、発言があったかどうかや、その発言の趣旨について(証人の)必要が出てくるというのは一般的には言える」と、話した。

 東京地裁は両訴訟の併合審理を決定。次回は4月12日の予定だ。