<ソフトバンク1-2オリックス>◇17日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの静かなるドン、秋山幸二監督(50)が怒った。オリックスに完敗し、連勝が4で止まった。このところ感情を隠さない秋山監督は「おもしろくねえな」と吐き捨てるように言い、帰りの車に乗り込んだ。この黒星で今世紀初の珍事が確定。4度目の借金完済チャンスに失敗したチームは、借金2に逆戻り。96年以来16年ぶりの、前半戦借金ターンが確定した。試合前は後半戦に向け「少しでも(ゲーム差を)縮めていい形で入りたいからこの2試合が大事」と意気込んでいただけに悔しさは倍増した。

 「打ててないな。“おれが決める”ぐらいで行ってくれたら。そういう強引さがほしいな」

 試合直後は打線に厳しい目を向けた。6回は先頭打者の松田が三塁打を放ち、ペーニャの適時二塁打で1点差としながら、後続3人が倒れた。4回1死満塁では中村と柳田がいずれも1球で打ち取られ、積極性も空回り。結局6度の得点機で1得点に終わり、ストレスは募った。

 先発岩崎を3回でスパッとあきらめ、継投で打線の反発を待つ采配は結果的に実らず。1点差負けはもう14度目だ。「中継ぎが(岩崎の)あとをつくってくれた。もうちょっと打線が自分が決めてやるってのがほしいよな」。指揮官は、8残塁した攻撃シーンを舌打ち交じりに回想した。

 首位ロッテとまだ5ゲーム差。悲観する状況ではない。それでも思い描く戦いができないもどかしさが静かだった指揮官を激情型へと変えている。【押谷謙爾】