ソフトバンク細川亨捕手(32)が9日、故郷青森・平内町で自己最高打率への挑戦を宣言した。秋季キャンプから“4スタンス理論”に基づいた体幹を使ったバッティングが固まり「ズンドコ打法」は確実性と飛距離がアップ。自宅の居間で素振りするユニークな練習を続けながら、来季目標を2割5分に設定した。この日は野球教室を開催し、児童たちと触れ合った。

 最高気温1度、外は一面の雪景色。体育館で熱のこもった指導を終えた細川は、体から湯気を立ちのぼらせ言い放った。「今年は散々だったけど、秋キャンプから今は打撃が楽しみ。ここ何年かは、なかった感覚。ちゃんと体が使えているし、来年は2割5分、そしてチャンスで打てるようにしたい」。自己ワーストだった今季1割5分7厘から1割近い上昇を宣言した。

 西武にいた07年の2割3分9厘が最高で、その年は10本塁打、08年も2割3分8厘で16本塁打。細川は「あの時に近い感覚です」と自信ありげだ。顔が似ている、氷川きよしの曲を打席の登場テーマに使うため「ズンドコ打法」と呼ばれたが、当時より「軽いスイングでフェンス付近まで飛ぶようになった」と進化した。

 その背景には、4スタンス理論によるフォーム固めがある。人はタイプによって部位を動かす順序や形が異なり、4タイプに分けられるという考えで、細川は重心がかかと外側に集まる「B2タイプ」という。この理論を取り入れる藤井打撃コーチらと秋季キャンプは、守備そっちのけで、ひたすら打ち込んだ。右股関節の上に重心を乗せ、「みぞおちを柔らかく、体幹を柔らかく使うイメージです。言葉で伝えるのは難しいのですが…」と、独特の感覚を懸命に説明したが、とにかく好感触なのだ。

 体に残る感覚を忘れないよう今では自宅の居間もトレーニング場。「家でも自然と振っています。テレビのCMの合間にとか。せっかくなので、いい感じのままでいたい」と、家族もびっくりのコマーシャル間スイングを継続中だ。秋季キャンプでは王球団会長から直接指導を受け、V奪回のキーマンと期待される「9番キャッチャー細川」。打線のしんがりが復活なれば、チームの得点力はグンと伸びるはずだ。【押谷謙爾】

 ◆4スタンス理論

 スポーツアドバイザーの広戸聡一氏が提唱。人によって重心が異なり、つま先内側(A1)つま先外側(A2)かかと内側(B1)かかと外側(B2)の4タイプに分かれており、それぞれに合った体の使い方、形で、自然で効果的な動きを目指すというもの。タイプ診断は、前屈や寝返りをさせてもらう、膝立ちして他人の腕を引くなど簡単な動きでできる。