【ホノルル(米ハワイ州)12日(日本時間13日)=為田聡史】常夏の島でホットなプランが浮上した。巨人原辰徳監督(54)が、沢村拓一投手(24)を来季、ストッパーに挑戦させる意向を示した。来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表候補としても「日替わりストッパー構想」の一角にリストアップされている。原監督も適材適所の再検討を示唆。巨人でも「沢村ストッパー」の可能性が浮上した。

 来季の抑えについての話題の中、原監督は自ら新候補の名前を挙げた。「だから、沢村だって十分可能性あるんじゃない?」。驚く報道陣を見詰めつつ、続けた。「まあ、2ケタ勝利を挙げているとはいえね、じゃあ、2年間でいくつ貯金したの?

 彼の働きどころとして、もっとふさわしいところがあるのかもしれない」。1年目ルーキーイヤーの昨年は11勝11敗、2年目の今季も10勝10敗と、ともに貯金はゼロ。2年間合計の投球回数は内海の371回2/3に肉薄する369回2/3を投げているが、貯金はエースの22個(11年13、12年9)に遠く及ばない。

 果たして先発が適材適所なのか。同監督は「あれだけのボールを持っているのだから。そのへんのところもね、2012年、日本一になったけれども、やはりさらに強くするためには、チームの1人1人の力を、どういう歯車の中で使う方がベストなのか、というのを余計に考えないといけないと思う」。沢村の適材適所を再検討することも、チームの最善策になると考えている様子だった。

 日本を代表するストッパーだった佐々木主浩氏も「沢村ストッパー構想」に賛成する1人だ。本紙評論で「球が速く、落ちる変化球を持っている。メンタルの強さ、日本シリーズで発揮した大舞台での勝負運、気迫を前面に出してのマウンド度胸もいい」と、抑えに必要な資質を備えていることを指摘した。

 来季は、いわゆる「3時間半ルール」撤廃が濃厚で、質量ともに「救援投手の充実」が大きなテーマとなる。だからこそ巨人は、救援投手の新外国人獲得を、いの一番に検討している。仮に沢村が救援に加われば、課題克服へ大きな前進になるのは間違いない。

 チームの日本一連覇という大目標のために、投手陣の再構築と強化は欠かせない。先発陣にはルーキー東海大・菅野智之投手(23=東海大相模)が加入することが期待される。救援陣に沢村の力がプラスされれば、投手陣全体の底上げが達成できそうだ。

 ◆巨人の守護神争い

 今季のストッパー西村が最右翼。単独ストッパーの場合、抑え競争は誰が西村を超えられるかにかかっている。右の救援は西村に加えマシソン、福田。左は山口、高木京、高木康。今季はこの6人がレギュラー救援陣だった。来季は久保、越智の復活が待たれ、オリックスから移籍の香月も競争に加わるはず。メッツからFAになっている150キロ右腕マニー・アコスタ投手(31)との交渉は順調に進み、来週にも合意に至りそう。一岡や田原らも健闘。ここに沢村が入ることで、競争は熱くなることは必至だ。