<楽天3-2ロッテ>◇6日◇Kスタ宮城

 キャプテンのバットが2連勝を呼んだ。楽天松井稼頭央内野手(37)がロッテ2回戦(Kスタ宮城)で2打点と活躍した。4回に先制の二塁打を放つと、2-2の8回には勝ち越しの三ゴロ(記録は敵失)を放った。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では世界一を逃したが、球団初の日本一へ、チームを引っ張っていく。

 一塁ベース上で、松井は首を横に振った。中堅後方のスクリーンには「E」のランプ。「あれ、エラーですか?

 ヒットと思ったんですけど」。2-2の8回1死一、三塁で、ロッテ南の直球に「振り負けないように。いいところに行ってくれました」と、三遊間の当たりを放った。三塁今江がグラブの先でボールをはじく間に、三塁走者が勝ち越しの生還。内野安打でもおかしくなかったが、失策の判定に悔しさをのぞかせた。

 安打にはならなかったが、勝利に大きく貢献した。4回には先制の二塁打。6回に逆転される嫌な展開だったが、「チームの雰囲気は良い。ベンチも、最後まで諦めていないですね」と話した。言葉どおり、6回に嶋が同点犠飛。そして、8回の勝ち越しにつながった。

 WBC日本代表に選ばれ、2月のキャンプでは星野監督も「大丈夫か?」と心配するほど、急ピッチで仕上げた。激闘の疲れは残った。3月19日の帰国後は「明け方に目が覚めちゃうんだよ」と、時差ボケに悩まされた。準決勝進出で渡米した直後も悩まされている。「向こう(アメリカ)に行って、ようやく治ったなと思った頃、こっちに戻って来たでしょう。また時差ボケで。プラスアルファの緊張感もあったしね」と明かした。日米球界で多くの経験をした松井でも、代表での1カ月は特別だった。

 今は疲れも抜け、チームも好調だ。開幕から7番に座る。好機で打席に立つことが多いのは、上位打線が好調な証拠。そんな状況に「自分でかえそうと思わず(8番の)嶋も調子が良いし、後ろにつなぐ気持ちです」と答えた。お立ち台では「全員で勝った勝利だと思う」と言ったが、固いまとまりの中心に、キャプテン松井がいる。【古川真弥】