<ロッテ4-3巨人>◇5月31日◇QVCマリン

 ロッテ益田直也投手(23)が、「神様・仏様・稲尾様」に並んだ。巨人3回戦(QVCマリン)の9回を無失点に抑え、両リーグ断トツの17セーブを挙げた。5月最終日の登板で、月間18試合登板もマークし、56年9月の稲尾(西鉄)の2リーグ制後最多記録に並んだ。両リーグ首位決戦で、半世紀を超える間、どの投手も成しえなかった記録を作り、チームを両リーグ30勝一番乗りに導いた。

 9回2死二塁。坂本を右飛に打ち取り、ゲームセット。30勝目を決めたナインのど真ん中、マウンドで益田は仁王立ちした。お立ち台では、先発の唐川、先制弾の井口と3人並んだ。5月は実に18試合登板。月間登板数で伝説的な鉄腕と並び「いつも起用してくれる監督に感謝です」と叫んだ。

 ベンチ裏に戻ってくると、すがすがしい笑顔で報道陣に話した。

 益田

 記録は、試合前に皆さんから聞きました。いっぱいプレッシャーをかけられましたが、恥じない投球をしようと思いました。記録を達成できたのが巨人というのも良かったし、ランナー二塁で坂本選手を抑えられたのも自信になります。「神様、仏様」と呼ばれた方なので、僕が並ぶのも恥ずかしいですが、並べたのは自信になります。今後も恥じない投球をしたい。

 試合前から投げる気満々だった。「巨人戦で見返したいです」。29勝18敗で並ぶセ・リーグ首位チームが相手だからではない。リベンジを果たしたいからだった。5月15日、東京ドーム。1点リードの9回に登板し、サヨナラ負けを喫した。今季2敗目の夜、堂々と「僕の力不足です」と話し、気持ちの切り替えに努めた。今季から守護神になり「万一、失敗しても報道陣に話す」という言葉を実践した。

 「今まで負けを引きずったことはない」と豪語する男は、17日の神宮では、もう笑顔だった。「巨人といっても、他チームと何も変わらなかった。穴はあるので。気持ちの問題ですね。ダメな時は悪い方に考えてしまう。メンタルをコントロールすれば抑えられる」と言い切った。

 失敗をも糧に、大記録を達成した。8連勝で始まった5月は、5連勝で締めくくった。伊東監督は「あのポジションは内容はどうあれ、結果をゼロに抑えてくれればいい」と、益田に託しきっていると強調する。「29勝同士とか巨人戦は関係ない」とクールを装う伊東監督だが「益田はお返しできた」とニンマリ。監督こそ、うれしい節目の大記録に違いない。【金子航】

 ▼益田が5月18試合目の登板。56年9月稲尾(西武)と並ぶ2リーグ制後の月間最多登板記録となった(セ記録は過去6人の17試合)。稲尾はチーム28試合のうち先発6試合、救援で12試合投げ6勝1敗、防御率1・44。先発、救援にフル回転した稲尾の74回2/3に比べ、益田は18試合で16回と投球回数は少ないものの、チーム23試合のうち18試合に登板。5月に益田が投げなかったのは5試合しかなかった。5月の益田は1勝2敗10セーブ、防御率3・94でパ・リーグ7人目、チーム初の月間2桁セーブもマークした。益田の活躍もあり、ロッテは昨年(日本ハムと同日)に続いて両リーグ30勝一番乗り。5月は17勝5敗1分けで、ロッテの月間17勝以上は優勝した05年4月(18勝5敗)と5月(17勝9敗)以来8年ぶり。