<日本ハム2-7ソフトバンク>◇18日◇帯広

 日本ハム大谷翔平投手(19)の投手と野手の「二刀流」挑戦が、新たな1歩を踏んだ。ソフトバンク16回戦(帯広)。「5番右翼」でスタメン出場し、5点ビハインドの8回からは4番手としてマウンドへ上がった。「野手→投手」のパターンは初めてだったが、1回1安打無失点。先発が予定されている23日オリックス戦(京セラドーム大阪)まで登板間隔があくための措置でもあったが、帯広のファンは大喜び。ほぼ前例のない中、試行錯誤は続く。

 8回だった。7回まで右翼を守っていた大谷が、4番手としてマウンドへ上がった。「負けていたけど、0で抑えれば勝てる点差だと思った。(今後に)うまくつなげていければいいです」と淡々と振り返る。「野手→投手」は初めての試み。4回のスライディングで泥だらけになったユニホームで、1回を1安打無失点に抑えた。その裏の打席では空振り三振に倒れ、打者としては4打数1安打2三振だった。

 空振り三振に倒れた6回の攻撃中、中継ぎ登板での起用を伝えられた。直後、右翼に就いたイニング間には、キャッチボール相手を務めた赤田を捕手に見立て、投球フォームを確認しながら“立ち投げ”。「試合中からそういう(登板する)気持ちではいた」と言うように、わずかな時間も自ら工夫して、活用した。

 7回の守備を終え、ブルペンに直行。打席が回る可能性があるため、モニターで試合の状況を確認しながら、19球を投げ込んだ。「打席は近かったけど、しっかり準備はできました」との言葉通り、最速154キロの直球とスライダーのコンビネーションで、スコアボードに「0」をともした。

 最近はネットスロー調整を多くし、投球フォーム固めに重点を置いてきたが、実戦のマウンドでも成長の一端が見えた。中村には16球を粘られたが、フルカウントから9球連続ストライクを投じ、最後は一ゴロに仕留めた。8度目の登板で、無四球は初めて。「球の走りもバランスも悪くなかった。だいたい思ったところにいったので、良かったかなと思います」。自己採点は厳しいが、この日は手応えを口にした。

 23日オリックス戦の先発が濃厚で、9日の前回登板から間隔があいてしまうことから実現。今後も先発登板の合間の試合で、野手として出場していくことになる。チームの連勝が3で止まり、喜びはない。それでも「(次回登板へ向け)試合で投げられたのは大きい。中継ぎでやってきたことを生かしていきたいです」と前向きにとらえた。プレーボールを右翼で迎えた黄金ルーキーは試合後、投手の顔になっていた。【本間翼】

 ▼5番右翼で先発出場した大谷が8回からリリーフ。6月18日広島戦で先発投手から右翼を経験したが、野手から投手は初めてだ。先発野手がリリーフで登板は、95年5月9日デストラーデ(西武)以来。デストラーデはオリックス戦に6番DHで先発出場し、0-9とリードされた8回2死から登板したが、1死も取れずに降板した。新人で野手→投手は、大谷と同じく二刀流に挑戦した68年5月26日永淵(近鉄)以来、45年ぶり。東映戦に6番右翼で先発した永淵は、3-6の7回からリリーフし2イニングを0点に抑えた。登板直後の8回の打席では二塁打を放ち、打撃成績は4打数2安打だった永淵だが、野手から登板はこの1度しかなかった。