＜巨人０－１ヤクルト＞◇２日◇東京ドーム

　巨人先発の今村信貴投手（１９）が、ポストシーズンに向けて大いにアピールした。プロ３度目の先発となった高卒２年目の左腕。６回１失点で初黒星を喫したが、投げる度に内容が濃くなっている。「自分のタイミングで打撃をさせない。徐々にステップアップしている」と評した原監督は、短期決戦で重責を任せる可能性は、との問いに「ですね。１戦ごとに（格が）上がっています」と続けた。

　ＣＳファイナルステージは、６試合制で行われる。日本シリーズは、最大で７試合以上行われる。ともに先発投手を“４枚プラスα”用意しておく必要がある。実績から、内海－菅野－杉内－ホールトンの順番で、左右ジグザグの重厚なローテーションを組むことが王道。伸び盛りの今村が“α”の枠に食い込んでくる可能性は十分にある。

　打者の懐にクロスファイアを放り込む。そこに、スピードガン計測が不可能な超・超スローカーブをまぶし緩急をつける。追い込んでからは、シンカー気味に落ちるフォークボールを振らせる。走者を出してからのプレートさばきも落ち着いている。６回無死一塁で走者を殺したけん制の素早さに、１球ごとにタイミングを変えるクイックモーションの技術も高い。

　淡々と投げ込んでいく精神面も加え、一発勝負に抜てきしたくなる資質を備えている。今村は「インコースの真っすぐが投げ切れていない。もっと練習しないと」と、失投による５回の被本塁打を猛省した。シーズンでの登板機会は終了。大一番へ牙を研ぐ。【宮下敬至】