阪神が来季の新外国人候補として、日本ハムのブライアン・ウルフ投手(32)を調査することが7日、分かった。今季9勝の右腕は契約満了となり、国内他球団でのプレーを検討中。メッセンジャーのメジャー流出が濃厚な虎にとって、日本4年間で通算35勝の先発タイプは魅力たっぷりだ。

 虎がオオカミをターゲットにした。ウルフは今季で1年契約が終了。日本ハムは再契約に消極的で、チームに愛着を見せる右腕も移籍を検討し始めた。現状は米球界復帰を望んでおらず、日本の他球団でのプレーを希望しているという。いち早く情報をキャッチした阪神首脳は「ウルフと日本ハムの契約を見守ってから」と前置きした上で「獲得へ向けて動く価値のある投手」と調査を進めていく。

 ウルフは大リーグのブルージェイズで中継ぎとして活躍し、10年に日本ハム入りした。当初は救援での起用が続いたが、1年目の秋に先発転向。最速157キロの直球で押すスタイルから制球重視に変えてから、素質が開花した。11年に12勝、昨年は10勝と2年連続で2桁勝利をマーク。今季もチームトップタイの9勝を挙げた。オープン戦では3月9日阪神戦(甲子園)で藤浪と投げ合い、5回を3安打1失点に抑えている。

 日本ハム関係者によれば、ウルフは年俸1億500万円(推定)プラス出来高が高額とされ、ダウン提示は必至な状況だという。日本での4年間の成績は安定感十分。11月で33歳と、まだ十分に働ける年齢も魅力で、ソフトバンクも調査リストに入れている。

 阪神の編成関係者は「日本の野球にとけ込めるかが一番のポイント。外国から売り込んでくる未知数の投手より、日本野球の経験者のほうがいい」と説明する。先発ローテーションの一角として2桁を計算できるなら、日本ハムが高いという年俸も安いものだ。

 阪神は今オフの補強ポイントに「4番」と「ストッパー」を挙げてきた。ここにきて首脳は「先発も足りないのは明らか」と言う。開幕投手を務め、右のエースとして支えてきたメッセンジャーのメジャー流出が濃厚。契約ラストイヤーとなるスタンリッジの去就も未定だ。最悪の場合、今季1年間ローテーションを守った投手は能見と藤浪だけになる。

 球団は先発補強のため、ドラフトではJR東日本・吉田一将投手(24=日大)と九州共立大・大瀬良大地投手(4年=長崎日大)の即戦力右腕を1位候補に挙げている。また、西武の涌井秀章投手(27)ら国内FA権を持つ投手の動向にも注目。12球団トップの防御率3・05を残す「投手王国」の、さらなる強化を目指している。

 ◆ブライアン・ウルフ

 1980年11月29日、米カリフォルニア州生まれ。サーバイト高から99年ドラフト6巡目でツインズと契約。06年からブルージェイズ傘下に移り、07年メジャー初登板。10年から日本ハムに移籍。11年5月24日横浜戦2回に、外国人投手初の1イニング3者連続3球三振を記録。190センチ、104キロ。右投げ右打ち。