ヤクルトの来季の投手コーチ候補に、日本歴代2位の通算286セーブをマークしたOBの高津臣吾氏(44=野球評論家)が浮上していることが8日、分かった。高津氏はヤクルトで守護神として3度の日本一に貢献し、メジャーなど海外でも活躍。豊富な経験と、昨年はBCリーグ新潟では兼任監督も務めた。最下位低迷の要因の1つとなった投手陣の再建に向け、ヤクルトが黄金期を支えた名投手に白羽の矢を立てた。

 最下位からの巻き返しをはかるヤクルトが、黄金期を支えた守護神高津氏に白羽の矢を立てた。高津氏はヤクルト時代、シンカーを武器に日本通算286セーブをマーク。その後は大リーグ、韓国、台湾でプレー。11年にはBCリーグ新潟に移籍し、12年には監督を兼任。今年は解説者として活動するなど野球人としての経験は幅広くて豊富だ。

 高津氏はNPBでの指導者経験はないが、BCリーグ新潟では監督を経験して前期、後期とも1位となり、初優勝に導いた。この日も東京ドームで巨人ヤクルト24回戦の解説を行うなど、現在も積極的に現場に足を運んでいる。最下位に沈んだ古巣の現状は把握している。現役時代は守護神として厳しい場面で登板し、チームを勝利に導いてきた。サイドスローからの投球術や技術には定評がある。現役時代から人気も高く、明るいキャラクターも再建にはうってつけの存在といえる。

 ヤクルトは今季、館山や由規ら故障離脱者が続出した影響もあって投手陣が崩壊し、防御率は昨季を大きく下回った。特に救援陣は昨季のセーブ王バーネットの不振もあり「勝利の方程式」を確立できず、この日も逆転サヨナラ負け。勝ち試合を何度も落とすなど課題が山積みだ。

 小川監督の来季続投が決まった9月29日、衣笠球団社長は「コーチ陣の刷新は求められる」と話した。荒木投手コーチと中西バッテリーコーチ、飯田外野守備走塁コーチとは、来季のコーチ契約を結ばない方針。1軍か2軍かは未定だが、バッテリーコーチには今季限りで巨人2軍バッテリーコーチを退任する野村克則氏(40)が候補に挙がる。その他のポストは、内部での配置転換を中心に迅速に決定していく見込みだ。

 ◆高津臣吾(たかつ・しんご)1968年(昭43)11月25日、広島県生まれ。広島工-亜大を経て90年ドラフト3位でヤクルトに入団し、4度の最優秀救援投手を獲得。03年オフにFAでホワイトソックス移籍。1年目の04年に19セーブを挙げた。05年8月にメッツ移籍。06年ヤクルト復帰。08年は韓国のヒーローズ、09年は米ジャイアンツ傘下3A、10年は台湾の興農でプレー。11、12年はBCリーグ新潟に所属し(12年は監督兼任)、昨季限りで引退。日本通算286セーブは歴代2位。180センチ、73キロ。右投げ右打ち。